ビジネス

2022.08.11

利益と結果を確実に出す、令和流の新しいモデルとは?

ラーニングエッジ代表取締役・清水康一朗


その要因として、会社規模にかかわらずに安価に使える集客ツールの登場があります。特に、SNSなどのインターネットを使った集客は、小回りが利く中小企業に分があるといえるでしょう。しかも、SNSから派生するオンラインサロンやサブスクリプションサービスは、リピート性が高く、安定した収益を生みやすい。

つまり、「5Kマーケティング」の最初のステップ「よい企画」でSNSを通じて顧客と「絆」を結び、サブスクリプションサービスで安定的に「利益」を上げる。これこそが、令和時代の成功モデルなのです。

「絆徳経営」における高収益の目標ラインは、業種や業態にもよりますが、営業利益10%、一人当たりの売上高は4000万円が目安です(大企業なら7000万円以上)。このレベルであれば、雇用・教育・社会貢献にも予算を割けるようになるでしょう。

ちなみに、今の日本では、営業利益率が平均2.99%、一人当たりの売上高は3564万円。これを中小企業が10%と4000万円に引き上げるには、社員が世の中の平均以上の生産性を発揮できるような「仕組み」が不可欠になります。そんな「仕組み」に欠かせないのが「5Kマーケティング」なのですが、それでは、具体例でお話しましょう。

「企画」や「きっかけ」作りに挑戦する勝ち組企業例


広島県の老舗パン企業「八天堂」は、日常品であるクリームパンを高級にしてみせる、という手法で大成功をおさめました。看板商品のクリームパンは、1個約300円。一般的なクリームパンよりは割高ですが、自宅用のみならず、贈答用としても人気を博しています。

もともと普通のパン屋として展開していた「八天堂」が、コンビニとの競合で経営が悪化。そこで、思いきって高級スイーツパン専門店へと転身したことで、高級クリームパンが大ヒット。「コンビニでなく専門店で買う人は、割高でも高級感のあるパンを求めている」という「人」を想定して生まれた転換といえます。

さらなる高級路線で成功しているのが、「ザ・リッツ・カールトン東京」。一泊200万円のスイートルームは、大きな話題を呼びました。しかし、これは、200万円の部屋に宿泊してもらいたいというより、大胆な料金設定を設けることで、消費者やメディアの関心を集めて、高級ホテルとしての認知度をアップされるための「企画力」の勝利といえるでしょう。

一方、庶民派アイスの「ガリガリ君」。常識にとらわれず、味を広げる戦略のもと、コーンポタージュ味やナポリタン味など、アイスでは考えられなかった斬新なフレーバーを定期的に発売しています。対象顧客のニーズを「美味しさだけでなく、面白さも求めている」と想定しているからです。

また、コラボ企画は、顧客に対して髙い感動をもたらします。豆腐メーカー「相模屋」が、機動戦士ガンダムのキャラクターである「ザク」とコラボした「ザクとうふ」を発売したところ、SNSで大きな話題を集め、爆発的なヒットに。一般的に、豆腐の企画モノは、初回出荷が5000丁でヒットといわれるところ、「ザクとうふ」は、なんと14万丁も出荷。

しかも購入したのは、ふだん豆腐に関心のない30~40代男性。隠れていた購買層を、キャラクターとのコラボという、「人」を研究した「企画力」の勝利といえます。
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文=中村麻美

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