ビジネス

2022.08.11

利益と結果を確実に出す、令和流の新しいモデルとは?

ラーニングエッジ代表取締役・清水康一朗


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その「仕組み」の柱となるのが「企画」で、「企画作り」に最も大切なのは、「顧客を知ること」です。顧客がどんな人で、何を求めているかが分からなければ、「絆徳経営」の核心となる「相手によいことをする」ことも出来ません。

すなわち、1. 相手が求める「企画」を立て → 2. 「きっかけ」を提供し → 3. 「関係」を構築し → 4. 「感動」を届け→ 5. 「絆」を作る。これが最強のマーケティングであり、私は、1. から5. までの5ステップの頭文字をとって「5Kマーケティング」と呼んでいます。前章でお話した「FFMBモデル」で結果が出にくい現在、「5Kマーケティング」への移行が、売上を上げる最短の考え方なのではないでしょうか。

では、「企画作り」に最も大切なこと。それは「顧客を知ること」です。顧客を知ることは商売に於ける基本中の基本ですが、それができていない会社は意外にも多いものです。

例えば経営者の方に「その商品は、どんなお客さまが買っているのですか?」と尋ねると、悩みに悩んだあげく「えーーと、いろんなお客さまです」などというあいまいな答えが返ってくることも多いのです。顧客を理解していなければ、効果的なマーケティングを実施して反応率を高めるなんてことができるはずがありません。

つまり、理想の「5Kマーケティング」とは、1. 企画作り(顧客理解に基づく継続的な情報発信)。2. きっかけ作り(無料体験または単品商品)。3. 関係作り(フロントエンド)。4. 感動作り(ミドルエンド)。5. 絆作り(バックエンド)、となるわけですが、これを深堀してみてみましょう。

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目指すべきは、「高収益企業」への転身


このように、人でなく商品の視点から考えられた販売プロセス「FFMB」の進化版といえる「5Kマーケティング」。ここで大切にしているのが「人」なのですが、「人ありきの商売」は、日本人がもともと得意とするビジネスモデルでした。近江商人の「三方よし」の発想は、まさにその象徴で、顧客・社員・社会との絆があれば、商売がうまくいくことを、彼らは経験的に知っていたのでしょう。

大量消費時代に入って以降は、「商品ありき」のビジネスモデルが主流でしたが、SDGsの意識が高まると共に、行き詰まりを見せてきました。そのような中で、2019年、米国のビジネス・ラウンド・テーブルが株式至上主義を見直して、顧客・従業員・サプライヤー・地域社会・株主など、すべてのステークホルダーを重視する「三方よし」的な方針を表明したのも時代の流れといえるでしょう。

では、「三方よし」にするには、まずはどうすればいいか?すばり、お客さま理解を深めて質の高い「企画」を打ち出すことによって、「高収益企業」を目指すことです。そういうと、中小企業には無理とか、大企業は、「高収益企業」として有利であると考えられがちですが、利益率に限っていえば、実は中小企業の方が大企業よりポテンシャルが高いといわれており、近年では、経常利益率が大企業を上回る中小企業が増えているのも現状なのです。
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文=中村麻美

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