ビジネス

2022.03.02 10:30

背中を追いかけ合った起業家たちの「10年ドラマ」──Meety1.9億円調達の裏側

HIRAC FUND代表パートナーの古橋智史(左)とMeety代表取締役CEOの中村拓哉(右)


「今回の調達以前の、シード期から支援してもらっています。当時の成長ロジックはまだ脆弱だった。知り合いだから投資とかはありえない、何を評価してくれたんですか?」と中村はインタビューの場で質問をぶつけた。
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古橋にはHR市場でのMeetyの成長可能性と、それを実現できる力が中村にはあることが見えていたのだ。

「Meetyがリリースされた2020年はコロナによる社会変革がおきました。このWithコロナの時代に合うプロダクトやサービスへの投資は、HIRAC FUNDのテーマの一つ。これからはリモートワークが前提になると考えたとき、Meetyは時代の流れにあっているけど、これまでになかったプロダクトです」(古橋)

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HIRAC FUND代表パートナー 古橋智史
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リモートが前提になると、企業の採用の文脈で“カジュアル”に候補者と会う機会を設けることは難しい。しかし、繋がるというニーズは絶対に無くならない。

むしろ、採用のファネルで人材とタッチポイントを確保したいというニーズは加速している。

しかし、従来のサービスはカジュアルと言いながらも、対面するのが人事担当者であったり、企業主体の採用面接の意味合いが色濃くなってしまいがちだった。

Meetyは違う。同サービスがこだわるカジュアル面談は、現場の社員と話すことが多く、設定されるトークテーマの多くが“面接”のそれとは異なる。

候補者主体のカルチャー、それこそがMeetyの特徴であり、ユーザーが集まる理由だ。

しかし、この最大の強みは定性的であり、評価が難しい点である。ただし、古橋は語った。

「中村さんは、Speee時代からカルチャーをとても大切にする人でした。さらに、それを人に伝播させることが得意であることを、私は間近で見てきた。彼自身が人事担当者として採用の現場に触れてきたことも含めて、彼の持つ強みやストーリーをそのまま具現化したものがMeetyです」(古橋)

見極めが難しい定性的な強みも、既知の関係性だからこそ信じることができたという訳だ。現状、Meetyはまだマネタイズができていない。その点について懸念はないのか。

「Meetyは、既存のHR市場を大きく変えるサービスになります。既存市場の開拓であれば、彼の営業力を持ってすれば、最悪なんとかなると」(古橋)

Meetyのコンセプトは市場のニーズにマッチする──その可能性は古橋でなくても評価できたかもしれない。ただ、コンセプトとビジネスとしての実現可能性を見極めることができたのは、中村と共に切磋琢磨した時代があったからだろう。
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文=萩原愛梨 写真=小田駿一 編集=後藤亮輔

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