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2022.03.02 10:30

背中を追いかけ合った起業家たちの「10年ドラマ」──Meety1.9億円調達の裏側

HIRAC FUND代表パートナーの古橋智史(左)とMeety代表取締役CEOの中村拓哉(右)

HIRAC FUND代表パートナーの古橋智史(左)とMeety代表取締役CEOの中村拓哉(右)

2021年から2022年にかけて、あるサービスがスタートアップ界隈を騒がせた。採用の主流が今、ある男たちによって変わろうとしている──。

爆発的なユーザー数の伸びから、人事担当者だけでなくネクストユニコーン企業のCxOたちも利用するカジュアル面談プラットフォーム『Meety』。同サービスを運営する、株式会社Meetyが2022年3月2日、1.9億円の資金調達を発表した。

今回のラウンドに置いてリードとなったのは『HIRAC FUND』。マネーフォワードベンチャーパートナーズが設立したベンチャーキャピタルだ。

急成長中のMeetyがさらに注目を集めるきっかけになるであろう、今回の調達。実はこの調達劇、10年前からはじまっていたのだ。

主人公はこの2人。Meetyの代表取締役CEO中村拓哉、そしてHIRAC FUND代表パートナーの古橋智史である。

上司・部下としての出会い──中村を一度も抜けなかった古橋


Meetyの代表・中村と、同社に出資を決めたHIRAC FUND代表の古橋の出会いは、今回の出資から約10年前に遡る。

ITベンチャーであるSpeeeへ、古橋がメガバンクから転職。中村は当時、営業リーダー。古橋は直属の部下となった。

人事担当者から、古橋について「君に似ている男性が入社するよ」と聞かされていた中村。実際に入社した彼と出会い、自身も共通する部分も感じたという。

「“人たらし力”のようなものを古橋さんには感じました。コミュニケーションの力で仕事をうまく回すタイプだと思っているんですが、古橋さんは僕以上でしたね」(中村)

メガバンクからベンチャー。正反対と言ってもいいカルチャーをもつ会社から転職した古橋だったが、入社直後から営業成績でも頭角を表した。中途入社のベテランでも苦戦する難易度が高い商材を、異業種からやってきた古橋は前例を覆すスピードで受注し続ける。

「とにかく仕事が楽しくて、土日にテレアポリストを作っていたのですが、「土日は休め」と代表に叱られまして。それじゃあと、月曜日の午前0時から働きはじめました。おかしいですよね(笑)」(古橋)

泥臭い仕事を、異常なほど徹底的にやりきる古橋。

それでも、“上司”には敵わなかった。当時の中村の営業力は群を抜いており、月間・クオーター・半期・年間の営業成績において歴代最高を記録。古橋は、尊敬しつつも、悔しさを抱いていた。

その後、古橋もチームリーダーへ昇格。ただ、退社にいたるまで、中村の成績を抜くことはできなかった。

退職から即起業を選んだ古橋──起業に踏切り切れなかった中村


その後、Speeeを退社した古橋は、2014年にSaaSマーケティングプラットフォーム『BOXIL』を開発・運営するスマートキャンプを起業した。一方、中村はSpeeeに残り、新規事業を任されていた。

実は中村も以前から起業を目指していたが、結果として古橋が先に起業を果たすことになる。
次ページ > “アウェイ”への踏み切り力が、今の二人の差に

文=萩原愛梨 写真=小田駿一 編集=後藤亮輔

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