次に用意するのはスギの葉です。枯れて落ちているスギの葉は油分を多く含むため、すぐに大きな火となります。この後の工程でもし火が小さくなってしまったりした場合にも、スギの葉を投入すればブースターとして確実に火が大きくなりますので多めに用意しましょう。次は小枝もしくはまきをバトニングで割りばし程度に細くしたものです。
ここまでくればあと一歩。ようやく普通の太さのまきを投入することができます。そして太いまきの一部がおき火になればもう安心。火が小さくなったとしても、火吹き棒で息を吹き込めば復活します。
この段階まで火吹き棒やうちわ等を使っていないのにお気づきでしょうか。しっかりと準備して一つひとつの段階を経て火を大きくしていけば焦って汗をかきながらパタパタとする必要などないのです。
火のそばに次のまきを立てかけたり置いたりすることでしっかりと乾燥させるのも準備のひとつ。
もっと簡単に着火する方法もありますね。それはガソリンをぶっかける方法です。しかし、それはサステナブルなことでしょうか。自然を愛するアウトドアマンのひとりとしてあまり好きではありません。また、ガソリンがなかったときに、それ以外の方法を知らないことはオルタナティブではありませんね。
おっと、ここは経済誌の誌面でした。最後はプロジェクトの話に戻しましょう。あなたのプロジェクトを確実に着火させ、大きく育てていくために。
そのプロジェクトにとって必要な3要素が何であるかの理解ができていますか?
その3要素を理解しながら細かくフェイズ分けしたプランニングはできていますか?
各フェイズごとに最適な燃料が違うことを理解し、先回りして準備ができていますか?
また、火が消えそうなときや大きくしたいときのためのブースターの用意はできていますか?
その手法はサステナブルであり、オルタナティブですか?
そういった法則の理解と準備ができていれば、きっとプロジェクトにはうまく火が付き、その火を大きく育てていくことができるのではないでしょうか。
さて、私はそろそろささっとまきに火を付け、後はスモーキーなウイスキーとシガーと共にゆったりと火を見つめながら自由でチルアウトした時間を過ごすことにしますね。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。
三橋晃大◎電通Bチーム『焚き火』担当。日本たき火協会事務局長。アウトドアと音楽をこよなく愛す。本業であるビジネスプロデューサーとしても多くのアウトドアや音楽フェス関連のプロデュース実績をもつ。
本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。