今回はそれをビジネスシーン、プロジェクトマネジメントに応用してみます。あなたのプロジェクトはちゃんと着火していますか。
「焚き火をうまく着火させる、そして長く保つコツって何ですか?」
ある日、日本焚き火協会の事務局長であり電通Bチーム「焚き火」担当の私に、電通Bチーム創設者の倉成英俊さんからそんな質問がありました。もちろんそれが単なる焚き火のスキルの話ではなく「応用」を求めていることは言わずもがな。
難しい課題だなと思いつつ、いったん鈍感力を働かせ素直に事細かくそのコツを伝えたところ、「それってまさしくプロジェクトに火を付けて大きく育てていくための手法ですよね!」と面白がっている様子。ということで今回は焚き火のコツをお伝えすることにします。
日本焚き火協会。焚き火検定の開催、たき火関連事業の監修、プロデュース等を行う。
法則の理解
最初に、火が発生するメカニズムを理解しておく必要があります。火が燃焼するために「燃料」「酸素」「熱」の3要素が連鎖的に化学反応を繰り返すことが必要であり、それは「ファイアートライアングル」というモデルで示されます。
まだ火が安定していない段階で、慌ててあおいで逆に火を消してしまう失敗を見かけることがありますが、それは火が十分に燃焼するために必要な「熱」がまだたまっていないことが要因です。たったひとつの要素が失われるだけで火は維持することはできません。この法則を理解しておくことは、焚き火のどのフェイズでも重要なことです。
あなたのプロジェクトに火を付け継続するために必須な3要素はなんでしょう。仮にたき火のベースとなる「燃料」が「人材」だったとします。まだ準備もできてないうちからいきなりうちわであおぎ、「熱」をしっかりとためる意識が抜けていませんか?「熱」をためるためには太い丸太や石等でしっかりと熱がたまるように囲ってあげることが必要です。その「囲い」とはなんでしょうか。
準備が8割
法則の理解ができたら「準備」に入りましょう。細かくフェイズを分けて、そのフェイズごとに適した準備をたき火を始める前に全て完了しておくことがポイントです。焚き火の成功はこの準備が8割といってもいいでしょう。
まずは、火ほくち口とたき付けです。ファイアースターターのような小さな火花から着火するには麻ひもをほぐしたものが適しています。ただし、ほんの数秒で燃え尽きてしまうため、さらにその次の準備をしっかり事前に整えておかなければなりません。
マッチやライターを持っているのであれば、シラカバの皮や松ぼっくりから始めるのがいいでしょう。たいていどこにでも落ちている松ぼっくり、もしなかったときの保険としてシラカバの皮をポケットに忍ばせておけば安心。それもなければフェザースティックをつくる手があります。
バトニング。まきを細く割るためにナイフの背を別のまき等でたたいて割る方法。