「コストが安いから」と買い叩くな。途上国からアパレルの変革に挑む

アパレルブランド「banesh」の代表、飯塚はる香


賛同者のコミュニティを形成


ブランド立ち上げから約2年。これまでに計4回のクラウドファンディングを実施してきた。その目的は、ブランドコンセプトに賛同する人のコミュニティをつくることだ。

「元々、社会問題に興味を持っている若者をターゲットとして考えていました」という通り、地道に増えてきた支援者は、飯塚と同世代である20〜30代の若者が多い。

「日本では“意識高い系”などと揶揄されることもありますが、そんなことを言っている場合ではありません。我々が危機感を持って社会を変えていかなければ」

しかし、オンラインだけでは顧客と直接会話ができないため、実際に会ってブランドコンセプトを伝えたり、要望を聞いたりする機会がほしいと思い、2021年には日本に帰国。全国で移動販売を実施し、コミュニティの輪を広げてきた。


日本での移動販売は、顧客と直接コミュニケーションをとることができる貴重な機会となった

こうした丁寧なコミュニケーションは口コミやSNSなどで広がり、さらなるファン獲得のエンジンにもなっている。

仲間とともに新たな文化をつくりたい


飯塚が、ファンコミュニティ拡大の先に描いているのは、新たなアパレル業界の文化を築くことだ。例えば、バネッシュと同じ志を持つブランドが一堂に会する場所をつくり、ムーブメントを起こしていきたいと考えている。

並行して “バングラデシュ在住”という強みを生かした発信活動にも力を入れていく。工場などの生産現場で目にしている課題を、講演活動や動画などを通じて伝えていくのだ。

その際バネッシュの商品は、その活動に関心を寄せる人同士をつなげたり、発信内容をより伝えやすくしたりという役割を果たす。

「私は、ただ服を売りたいというわけでなく、その先に解決したい課題があるからブランドを立ち上げました。バネッシュというブランドやプロダクトを通して、大量生産や大量廃棄をなくす動きが、同業者にも広がってほしいですね」

文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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