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「コストが安いから」と買い叩くな。途上国からアパレルの変革に挑む

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アパレルブランド「banesh」の代表、飯塚はる香


生産者と消費者をつなぐ架け橋に


バネッシュの看板商品はTシャツ。ほかにもバッグやハンカチ、ストールなど、ファッション小物なども展開している。リアル店舗は持たず、ECサイトと移動販売のみで取り扱う。

コンセプトは「一着の服に関わるすべての人をハッピーにすること」。すべての人とは、着る人や売る人、つくる人はもちろん、出荷や輸送に関わる人も含まれる。「つくる」とひと口に言っても、縫う人もいれば布や糸を織る人もおり、出荷過程では衣服を入れるビニール袋や段ボール箱を生産する人もいる。


着る人の「背中を押す」という意味を込めて、背中にブランドロゴを入れたTシャツ

「日本で生活していると、服がどこでつくられているかを考えることはあまりないと思います。それは逆も然りで、途上国の縫製工場の人たちは服をつくっているときに、それを誰が着るのだろうと疑問に思うこともほとんどないのです」

飯塚は、アパレル業界の川上から川下までを経験したことがあるからこそ、「両者をつなぐ懸け橋になりたい」と言う。バネッシュの商品は、原材料の調達から縫製までの生産はすべてバングラデシュで行い、日本国内で販売している。



生産における様々なプロセスで特にこだわっているのが、安い労働力を買い叩かないこと。原則、提携先の工場の言い値で取引をしている。最低工賃の6倍ほどと値段は張るが、1枚ずつ検品してズレや飛び、糸の始末などの不備があれば直してもらう。そうして、製品の品質を高めている。

「“生産コストが安いから”と買い叩かれて、幼い子供が働かされたり、人がまるでロボットのように使われたりして成り立っている工場を見てきました。こうした工場は大量生産に慣れていて、品質よりも納期を優先することが多いんですね。シンプルですが、『買い叩かない』ことで、そういう工場をなくしていきたい」

バングラデシュに住む飯塚は、生産現場の様子をSNSで公開したり、ライブ配信したりすることで、生産者と消費者がダイレクトにつながれる仕組みも作っている。それには、「当社の製品を安心して購入いただきたい、という意図だけでなく、『服は一つひとつ人の手でつくられているんだ』ということを、日本の消費者の方々に知っていただきたい」という思いがある。


バングラデシュの縫製工場の様子。

また、バネッシュは2022年から、これまでの「見込み生産」から、必要な数量だけを生産する「受注生産」に切り替える。これも、過剰生産をなくし、よりクオリティの高い製品を届ける試みだ。
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文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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