旧正月のギフトに竹島イラスト 懲りない文在寅政権の残り時間

文在寅大統領(Photo by Andy Buchanan - Pool/Getty Images)

2月1日は旧正月。新型コロナウイルスの流行が収まらないなか、韓国や中国では故郷に向かった人々もいたようだ。2018年から数えて5回目、最後の旧正月を迎えた文在寅大統領は故郷に戻らず、北朝鮮問題や新型コロナ対策に追われたそうだ。

その韓国で騒ぎになったのが、文大統領夫妻が旧正月にあわせて各国の大使などに贈ったギフトだった。韓国各地の特産品を詰め合わせた箱に、島根県の竹島と見られる絵が描かれていたため、在韓国日本大使館はギフトを返送し、韓国側に強く抗議する事態に発展した。

日韓関係筋によれば、ギフトの担当は大統領府総務秘書官室。ここで韓国の各界関係者や外交団など約1万5千人を数える贈り先や、ギフトの中身などを調整する。箱のデザインについては、これまでは大統領夫妻の名前と、木槿の花を中心に二羽の鳳凰が向き合った大統領の徽章をあしらったものが一般的だった。ところが、文在寅政権は大統領のイメージ戦略にこだわりがあり、絵柄を使ったデザインを使うようになったという。今回のデザインは、新型コロナウイルスの流行などで苦労している韓国の人々に対し、「東海(日本海)の日の出のように、明るい未来を信じて頑張って欲しい」という意味が込められていたという。

ただ、竹島の領有権を巡って、日本と韓国が争っていることは、韓国人なら知らないはずがない。要するに、大統領府の担当者たちは、韓国の人々にばかり視線が向いてしまい、贈り先に日本人が含まれていることなど、まったく意に介する余地がなかったのだという。もちろん、大統領府で外交を担当する国家安保室にも、韓国外交部に対しても、このデザインについての相談はなかった。騒ぎになって、ようやく外交を担当する人々の知るところになったという。

ここで思い出すのが、 韓国大統領府が2017年11月に主催したトランプ米大統領の歓迎夕食会のことだ。この夕食会では、日韓が領有権を主張する竹島の名前を冠した「独島(トクト)エビ」が提供され、元慰安婦の女性が招待された。当時の複数の日米韓関係筋によれば、韓国政府は、メニューの内容や元慰安婦の招待について日米両政府と相談していなかった。韓国外交部も事実を把握していなかった。当時の在韓米国大使館関係者は、日本大使館からの通報で、元慰安婦の招待などの事実を知らされた。この関係者は驚いて大統領府の国家安保室に問い合わせると、最初は「まさか」という反応だった。国家安保室が「事実だった」と伝えてきたのは、夕食会の直前だった。この関係者は当時、「トランプ大統領は、相手が誰なのかわからないままにハグする羽目になった」とぼやいていた。
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文=牧野愛博

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