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2022.03.30 08:30

1300万部『ノルウェイの森』に教わる「生き抜く企業の共通項」


人の行く道に~


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ノルウェイの森書籍

利益とは何か考えたことがあるでしょうか? ……利益とは「他と違うことに対して支払われる対価」なのです。自由競争下で同質競争であれば利益はゼロに収斂するでしょう。企業活動はすなわち差異化であり、他社を模倣するのではなく、個性、独自性を打ち出さなくてはなりません。

しかしながら、どうしても他社と同じような経営になってしまいます。同じような研究開発をし、同じような時期に同じような投資をし、同じような製品を同じように作り、同じような価格で売ることになります。

他人と違うこと、天邪鬼であることはとても苦しいことです。人間にはどうしても「他人と同じでいたい」という願望があると思います。他人と違いたいという願望を持ちつつ、でも、他人と違うことをすることは恐ろしいことです。他人と同じでいたほうが楽です。

しかし、世界が平坦になった現代、あらゆる国が入り乱れての世界競争を迫られています。日米欧企業による同一条件での競争の時代は終わり、事業コストや発展段階が明らかに異なる国々との競争を迫られる世界競争下にあって、常識的な発想では勝てなくなってしまうかもしれません。

例えば、投資について考えてみましょう。好況期に投資するのが通常でしょうが、天邪鬼経営者は不景気に投資します。なぜなら、好況期の投資は皆が投資するわけですから、金利は高いし、設備も高いし、人の採用も大変です。

皆がそろって投資をすれば供給過多になる可能性も濃厚です。天邪鬼経営者は、不景気に低金利で低価格の設備を購入し、次の好況期にその果実を得るのです。世界の半導体産業でサムスン電子が飛躍した一つの要因が、投資の巧拙であったといわれています(例えば『なぜ「三つの逆転」は起こったか』(伊丹 敬之氏、NTT出版)。圧倒的な競争力を有する信越化学のウエハー事業も同様でしょう。

セブンイレブン創業者鈴木氏は、社員に同業他社の店舗を見学することを禁止していたそうです。見ると模倣したくなる、そこから生まれるのは同質競争に過ぎないとの判断でしょう。他社・他人と違う着眼、発想、意思決定。天邪鬼的発想。経営には不可欠な要素だと思います。

そして、「違う」は経営に限ったことではなく、人生そのものかもしれません。地球上には70億人もの人がいて、かつ、毎年1億人の「新規参入」(出生)があるわけですから大変な競争です。その中で生きていくには「違う」必要があります。

ベストセラーばかり読んでいると、人と同じ考えしかできなくなる。だから、永沢さんのようにディッケンズを読まなくてはいけない……うむ? 村上春樹って最も読まれている作家でしたね。何事にも例外があります(笑)。

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村田朋博◎東京大学工学部精密機械工学科卒。フロンティア・マネジメントには2009年入社、マネージング・ディレクターに就任し、2018年に執行役員に就任。山一電機社外取締役。大和証券、大和総研、モルガン・スタンレー証券での20年間のアナリスト経験を有し、2001年第14回日経アナリストランキング 電子部品部門1位。著書に『電子部品だけがなぜ強い』『経営危機には給料を増やす!』(日本経済新聞出版社)など。

(※本稿は、フロンティア・マネジメント運営の経営情報サイトFrontier Eyes Onlineからの転載である)

文=村田朋博

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