太田氏は自ら立ち上げた日本初の定額制ジュエリーレンタルサービス「スパークルボックス」を大成功に導いた起業家であり、小西氏はPR・ブランディングコンサルティング会社AStory合同会社代表でもある。
ここでは、「採用をはじめとした組織・チームのつくり方にアマゾンでの経験を100%生かしている」と語る2人に、“社員全員がリーダーであることを自覚する”アマゾンの強みを聞いた。
「リーダー採用」で取り入れる“バー”の存在
小西みさを氏(以下 小西):まずは採用について。いくつかの企業に採用時の優先順位をお聞きすると、「最も優秀そうな人を選んでいる」という回答が多いです。
太田理加氏(以下 太田):確かにその一面もありますが、アマゾンでは違った視点も持っていましたよね。「自分より優秀な人を採用する」というもの。自分より優秀な人を恐れずに採ることができれば、チームが成長し、それが自分にも返ってくる。ですので、採用時には、自分の“バー(基準)”を上げてくれるかを見ていましたよね。
小西:「バー・レーザー(選考基準を高く保つ役割を持つ社員)」が、採用プロセスに加わるのが特徴的でした。「アマゾンのリーダーとしての資質」を持つか否かを見極めるポジションで、そのための特別なトレーニングを受けています。ジェフ・ベゾスが「OK」でも、バー・レーザーが「NO」の判断をすることも。客観的視点から、同社にとって必要なスキルを持ち合わせているかを判断します。
太田:あとは、複数人で深掘りする面接を行っていましたよね。備えていて欲しい資質を採用前にしっかり決めておいて、複数の目を通して採用します。どのようなリーダーシップをこれまで発揮してきたか、1つだけではなく、複数のリーダーシップを発揮される方を選んできました。
小西:採用するチームとしては、急ぎで人材が必要な場合もあります。ですが、仮に急いで空いたポストを埋めることだけを優先するような採用をしてしまったら……、長期的な視点で双方が不幸になることは望みません。採用に妥協しないことこそが、中長期的に強いチームをつくるための源になっていると思いました。
太田:いま、採用の際にもこれらは取り入れられていますよね。リーダーシップのどの素質を見抜くか、採用に関わるメンバーと明確にしてから面接を行います。また、候補者のエピソードに対し、どんな状況で、どう行動し、結果がでたのかを深掘りしていくことも重要です。実際のエピソードを深掘りすることで、候補者の資質が見えてきますからね。採用後、ビジネスに参加してもらった時のイメージが想像できるまで聞きます。どんな弱みをもっているかもここで明確になるので、そこを含めた入社後のプランを描きます。