米食品医薬品局(FDA)は先ごろ、ブースター(追加免疫)接種の対象を12歳以上に拡大した。だが、子どもの入院者数の増加をみれば、対象年齢をさらに拡大することも、検討するべきだといえる。
感染した子どもたちのなかには、まれではあるものの、皮膚のほか脳や心臓、血管、肺、消化器系、腎臓といった臓器、組織に炎症が起きる多系統炎症性症候群(MIS-C)を発症する患者もいる。大半は治療によって回復するが、ごく短期間のうちに症状が悪化することもある。
オミクロン株の前に主流となっていたデルタ株の感染者の臨床データを見ても、ワクチン未接種の子どもたちは、感染した場合に合併症を起こす危険性が特に高いことがわかる。
米疾病対策センター(CDC)によると、昨年7~8月にデルタ株に感染し、米国内の6カ所の小児病院に入院した子ども(18歳未満)は、約38%が12~17歳で、このうちワクチン接種を2回受けていたのは、わずか0.9%だった。次に感染者が多かったのは、現在もワクチン接種を受けることができない5歳未満の子どもたちだ。
また、感染者のうち10代の子どもはその他の年齢の感染者より長く集中治療室(ICU)に入り、酸素投与が必要になるケースが多かったという。そのほか、MIS-Cを発症した子どものおよそ3分の2には、少なくとも一つの基礎疾患があった(最も多かったのは肥満)。