犬を飼うことで、パンデミックのうつや不安が軽減する

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人間は、社会的な生き物だ。人間にとって最も基本的な心理的欲求のひとつは社会とつながることであり、そうしたつながりがなければ、人としての自立が脅かされるように感じる可能性もある。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生した結果、他者とのつながりを維持するさまざまな機会が奪われてしまった。多くの人がいまだに孤立や孤独に悩まされている一方で、研究者たちは、犬が人間にとって理想的な相棒であることを改めて明らかにしている。

これまでの研究で、犬を飼っている人は、アレルギーを発症しにくく、心機能が向上し、健康で活発な生活を長く続けられることが証明されている。さらには、早死にのリスクが33%も低下することもわかっている。こうした成果に加えて、ミズーリ州セントルイスに拠点を置くネスレの子会社ピュリナ・ペットケアの研究チームは、犬を飼っている人は、犬を飼っていない対照群よりも、うつの知覚スコアが低かったことを明らかにした。

2021年12月に発表された最新研究では、犬を飼っている人のほうが、パンデミック中に社会的な支えがあったという回答がずっと多かったことも明らかになっている。ペットと暮らしている人はしばしば、ストレスの多い時期に、ペットの存在が情緒を安定させ、愛情を感じさせてくれると述べる。

「ペットは常にそばにおり、いつもと変わらない態度で接し、一方的に判断しない存在だと考えられている。さらに、飼い主を頼りにしており、飼い主に対して無条件の愛情と気遣いを示してくれると考えられている」と研究者たちは述べている。

ただし、研究者たちは次のように続けている。「犬は、飼い主のウェルビーイング(健康的な生活)に好ましい影響を与えているという研究成果ばかりではない。実際、一部の研究では、犬を飼うことで飼い主のストレスレベルが上昇しうることが明らかになっている。このように、これまでの研究成果はまちまちだ。つまり、犬を飼うと、飼い主のウェルビーイングの改善に、いつどのように役に立つのかについての知識は完全なものではない」

そこで研究者たちは、犬が実際に、パンデミックに起因した感情への悪影響を和らげる働きを持つのかについて解明するべく調査に乗り出した。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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