気候変動の専門家が選ぶ「もう聞くのはやめるべき」3つの質問

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筆者は公的活動に携わる科学者であり、かつては米国気象学会の会長を務めていたこともあるため、メディアや利害関係者、政治家などから、気候変動に関する質問が頻繁に寄せられる。長年にわたって対応してきた経験から、たいていは何を聞かれるのか予想できるようになった。

そこで、2022年からはもう聞くのをやめたほうがいいと思われる質問を3つ紹介したい。おそらく今後も聞かれることになるとは思うが、気候変動とその対策として取るべき行動をめぐる論調を進歩させるためにも、こうした質問はもうやめたほうがいい。

「現在の気候は『ニューノーマル(新しい常態)』なのか」という質問


そう、まさにその通りだ。しかし、もっと踏み込んでお話ししたい。先ごろも記者に話したとおり、現在の気候を「ニューノーマル」と呼ぶ必要はない。むしろ、これは「ノーマル」だ。

筆者は、気候に関して情報発信するなかで、気候変動の影響を未来形で語る論調に終止符を打つことをひとつの目標としている。私たちは非常に長いあいだ、今後の数年、数十年、数百年で何が起こるのかを議論してきた。ここで大ニュースだ。気候変動は、今この瞬間に起こっている。

事象の原因を特定する「アトリビューション研究(Attribution Studies)」は、着々と進化している。現代の異常気象には、気候変動の因子が確実に関係していることが確認され続けている。

率直に言って、どこかの年に発生した記録的暴風雨の数々や、被害額10億ドルの気象災害を繰り返し議論するような段階など、もうすでに超えている。それが、私たちが現在暮らしている世界だ。

最高気温や最多降雨量などが更新されるたびに「意見を求める」質問


筆者は通常、こうした問いに対して、「こうした類いの情報はすでに速報的なニュースではないと思う」と答えている。

極端な気温や降雨量、海水面の上昇、北極海の海氷融解、ハリケーンの強さをめぐる記録は今後も頻繁に塗り替えられ、ときにはその重大さが衝撃的なレベルに達するだろう。科学文献も、ほぼすべての主要学会も、学術機関の全米アカデミーズも、自然災害をテーマにした映画の冒頭に登場する科学者のように、気候変動が迫っていると警告してきた。そしていま、気候変動は目の前で進行しており、ますます大問題になっていくと思われる。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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