CO2削減に貢献 家の壁が「充電式バッテリー」になる未来

自宅はくつろぐだけの場所ではなくなるかも?(Photo by Ralph Kelly on Unsplash)

低炭素経済を実現するためには改良された高性能バッテリーが不可欠ですが、その選択肢の1つとして、住宅のコンクリートを活用する案が検討されています。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・住宅をバッテリーとして活用するということが、現実になろうとしています。
・充電式セメントバッテリーが実用化されると、機能性コンクリートを使って多層建物全体を建てることが出来るようになります。
・エネルギー貯蔵テクノロジーは、二酸化炭素排出量削減目標達成において重要な役割を担います。

近い未来、実現する可能性がある充電式セメントバッテリー。実用化されれば、自宅の壁を巨大なバッテリーとして活用することができるようになり、エネルギー貯蔵の方法が大きく変化します。

スウェーデンのチャルマース工科大学の研究者たちは、セメントバッテリーを開発しました。現時点で、これはリチウムイオンバッテリーの数100分の1のエネルギー密度であるにもかかわらず、これまでに開発された構造物に比べて約10倍ものエネルギーを貯蔵できるとしています。

エマ・チャン博士率いる研究チームによれば、この構造物には、内部に短い炭素繊維を少量含むセメントベースの混合物が、陽極に鉄、陰極にニッケルを用いて金属コーティングを施した炭素繊維メッシュとともに組み込まれています。

「コンクリートバッテリー技術を調査した初期の研究では、パフォーマンスが非常に低かったため、私たちは、従来の常識にとらわれず、全く別の方法で電極を生み出す必要があると考えました」と、チャン博士はサイエンス・デイリー誌で述べています。

「私たちが開発した、この充電も可能にするアイデアはかつてない試みです。ラボスケールでは概念実証に成功しました」



低炭素経済におけるバッテリーの役割


世界が、グリーンエネルギー、再生可能エネルギー、低炭素経済へと移行していく中、エネルギー貯蔵とそれに関連するテクノロジーの重要性は高まりつつあります。

貯蔵テクノロジーは電力の送配電を助け、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを蓄えるのに役立つため、二酸化炭素排出量削減目標を達成する上でも重要な役割を担います。バッテリーは太陽が出ていない時、風が吹いていない時でも電力を補うことができるからです。


オフィスビル街をバッテリーとして活用 イメージ: Chalmers University of Technology, Sweden

そして、改良された高性能バッテリーの開発方法に関する幅広いテーマのうち、議論されていることの一つが、このコンクリートバッテリーの開発です。
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Emma Charlton, Senior Writer, Formative Content

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