人をより楽に許せるようになる、ある簡単なコツ

Westend61 / Getty Images

他者をすぐに許せる人はそれほど怒りやストレスを感じず高血圧になりづらいが、それだけではない。こうした人は仕事へのやる気が他の人よりもはるかに高く、仕事に熱中できる。

筆者のコンサルティング企業リーダーシップIQが行った新たな調査「The Links Between Self Forgiveness, Forgiving Others, and Employee Engagement(自分や他者を許すことと従業員の士気の関係)」では、他者を許すことが得意な人は、自分が働く会社を素晴らしい勤務先として勧める可能性が64%高いことが判明した。また、こうした人が仕事で全力を尽くすことに意欲を持つ可能性は42%高かった。

この調査では残念なことに、他者を許す能力が高い人はわずか12%であることが判明している。つまり大半の人は、このスキルを身に付ける上で明らかに支援が必要だ。ここでは、少ない努力で迅速に他者を許す能力を身に付けるための科学で裏付けられたテクニックを紹介する。

一時的に距離を確保すること


「テンポラルディスタンシング(一時的な距離の確保)」とは、未来の視点から状況を見ることを示す技術的な名称だ。私たちが一時的に距離を取った視点(遠い未来の時点)から状況について考える場合、ストレスや悪感情が減り、より寛容になることが研究から示されている。

カリフォルニア大学バークレー校の研究者らは、この点を証明するため一連の実験を行なった。研究者らは参加者に、生活の中で現在最も大きな悩みとなっているストレス要因を特定するよう指示した。

一部の人はその後、近い将来(1週間後)にそのストレス要因についてどう感じるかを考えるよう指示され、他の人は遠い未来(6カ月から1年後)にどう感じるか想像するよう指示された。対象者は全員、こうして考えた後に自分の感情やストレス、対応を評価した。

この実験の結果、遠い将来の視点から現状を考えた調査の参加者は、1週間後の自分を想像した人と比べてストレスやネガティブな感情がはるかに少なかった。遠い未来の視点から考えた人は、現在の問題の影響は時間がたてば薄れると考え、心配や恐れ、不安、怒り、落胆、罪悪感を持つことが少なかった。

現状から一時的に距離を置く上で、シンプルなコツがある。それは、次に誰かから落胆させられることがあれば、「これから半年後、私はこの関係がどのようなものになってほしいのだろう」と自問することだ。

今から半年後、その人についてまだ怒っていたいだろうか? 怒りの感情から相手を毎日無視したり、完全に避けたりしたいだろうか? それとも、こうしたささいな問題を両者が乗り越え、少なくとも友好的、あるいは親しい関係さえ目指したいだろうか?
次ページ > 現状への怒りは永遠には続かない

翻訳・編集=出田静

ForbesBrandVoice

人気記事