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コミュニケーションのスペシャリストである私は、人の心の仕組みを理解するのに役立つ認知行動心理学を深く探求している。人の思考方法を理解できれば、その人に影響を与えやすくなる。

心を研究するメリットとしては他にも、自分自身の理解につながり、行動の裏にある理由を知れることがある。 

デロイト・コンサルティングのイノベーション部門を率いるジェフ・タフは、スティーブン・ゴールドバックと共同執筆しベストセラーとなった書籍『Provoke(刺激する)』で、「バイアス」の問題について議論している。

私は先日そのタフから、新しく起きている大きなトレンドをリーダーが認識できない要因となる5つの認知バイアス(思考エラー)について話を聞いた。他の人が見逃すパターンを認識する最初のステップは、自分自身の盲点を認識することにある。

1. 利用可能性バイアス

タフによれば、利用可能性バイアスは人が自然と「頭で理解しやすい情報」に偏りがちになる傾向のことだ。

先述の書籍では現実世界の例として、ケーブルテレビを解約する「コードカット」のトレンドがメディア界を一変させることを受け入れなかったあるメディア企業の役員が挙げられている。2009年当時、見たい番組を好きな時に見られるサービスを望んでいた人はわずか1.75%だった。そのためこの役員は、このトレンドを「重要ではない」として切り捨てた。

この役員(とその企業)は、ストリーミングコンテンツへの移行というトレンドを完全に見逃したのだ。 

書籍では「この役員はコードカットという概念を頭で理解できなかったために、その可能性を見通せなかった」と指摘している。

2. 現状維持バイアス 

人は一般的に変化を嫌い、通常通りの状態を好むものだ。新型コロナウイルス流行中に人々の鬱(うつ)や不安が急増した理由は、このバイアスで説明できる。

しかしビジネスでは、現状維持バイアスが企業の競争力維持を阻害するという認識を持つことが重要だ。例えば、経営陣は新商品の開発に際し、それに伴うリスクをほぼ常に考えているものだ。

そして、「思ったほどうまくいかないかもしれない」、「仕入れ先に拒絶されるだろう」といった考えから、リスクを避けようとプロジェクトを打ち切る。これが、現状維持バイアスだ。人は、損失のリスクを犯すよりも現状の維持を好む。

だが、急激な変化を遂げる世界では、行動を起こさず同じ場所にとどまるリスクの方が大きい場合が多い。 

編集=遠藤宗生

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