キャリア・教育

2021.12.22 07:30

ブロックチェーン業界はジェンダーギャップを解消できるか

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ブロックチェーン業界で働く女性としての課題と教訓


吉川:ブロックチェーン業界で働く女性として、直面した問題や学んだことはありますか?
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キャサリン・チュウ:フルタイムで働く母親として、子育てと仕事の両立はいまだに難しいと感じます。特に2020年は新型コロナウイルスの影響で授業が自宅からのリモート学習に切り替わったため、仕事をしながら子供の面倒も見なければなりませんでした。当時私はステーブルコインのダイ(Dai)を推進する非営利団体のメーカー財団(Maker Foundation)に勤めていましたが、メーカー財団では、社員が月に2~3日の休暇を取れるような制度を導入しました。この制度は私にとって大きな助けになりました。また、ブロックチェーン業界は、総じて柔軟な働き方を受け入れてくれる環境にあり、そうした柔軟性は非常にありがたいです。

キャサリン・ウン:まだまだ有給休暇は取得しづらい面があると思います。これはどの業界にも共通する問題だと思いますが、ワーキングマザーが仕事を休むと、「また子供のために休むのか」「また産休を取得するのか」という目で見られることがあると思います。しかし、子供の世話をするために男性が仕事を休むと、世間では「立派な父親だ」と見なされます。これは、ジェンダーのダブルスタンダード(二重規範)です。そうした経験から、女性は休むことに罪悪感を感じてしまいがちです。これは過剰な努力が必要という先程の話にも繋がります。人の期待に応えようと過剰に頑張りすぎてしまう、という女性のメンタリティを反映しているとも言えるかもしれません。

吉川:特に米国では、ブロックチェーン業界に多様性をもたらすためにさまざまな取り組みが行われています。一方で、日本に帰ると、多くの会議では未だに私以外女性がいないことが多い現状です。私が特定案件のビジネスの決定権を持っていたとしても、未だにジェンダーバイアス(社会的性差における偏見)から「この人が決定者なのか?」と疑問を持つ人たちもいます。このような固定概念は変えていかなければいけないと強く感じており、そうした意識改革に貢献できればと、業界のオピニオンリーダーとして広く認知してもらえるよう、イベントでの登壇や寄稿記事の執筆にも積極的に取り組んでいます。
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キャサリン・チュウ:ブロックチェーン業界でも、ジェンダーバイアスやアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)はまだまだ多く見られます。こうした偏見の排除は、男性だけでなく女性も含めて、誰もが取り組まなければならないことだと思います。考え方を変える方法はいくらでもありますし、自分が無意識に偏った考えを持っていることをみんなが認識すれば、自分自身や自分の判断を振り返ることができるようになると思います。
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文=吉川絵美

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