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2021.12.28

米人気司会者が出資する「ペットの遠隔治療」のスタートアップ

ジミー・ファロン(Getty Images)

NBCの深夜のトーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」の司会者のジミー・ファロンは、パンデミックの最中に自宅から番組に出演していたが、ある日、彼の老齢のゴールデンレトリバーがセットに割り込んでくるハプニングが発生した。その時、彼はゲイリーという名前のその犬が最近、嫌な臭いを放つようになったとボヤいていた。

「本当に耐えられないよ、ゲイリー。まるで高校のロッカールームにいるようだ」

ゲイリーが本当に臭かったのか、それともファロンがふざけてそう言っていたのかは分からないが、犬の体臭の原因の一つとしては脂漏症(しろうしょう)と呼ばれる皮膚炎が知られている。その、1年後、ファロンは、ペットの遠隔医療支援を行うスタートアップの出資者の一人となった。

オンライン医療サービス企業のHims & Hersの共同創業者のジョー・スペクターが設立したペットの医療ケアのスタートアップ「Dutch」は2021年7月、Forerunner Venturesなどから500万ドルのシード資金を調達した。スペクターと共にHims & Hersを立ち上げた同社のCEOのアンドルー・ダダムも、出資に参加した。

「ペット産業の規模は約1000億ドル(約11兆円)で、ますます成長しているが、ペットのヘルスケアサービスは人間の医療よりも遅れている。ペットのオーナーたちは、便利な遠隔医療サービスを求めている」と、ForerunnerのパートナーのNicole Johnsonは、フォーブスの取材に語った。

Dutchは、ペットの不安などの精神面のケアや皮膚病の治療に重点を置いており、現在はニューヨーク州やニュージャージー州、ペンシルバニア州などのオーナーにサービスを提供している。

スペクターは、Hims & Hers の幹部だった頃から、ペットのための遠隔治療サービスがないことを不満に思っていたという。「私はそれを実行できるユニークな立場にいると感じていた」と彼は話す。

遠隔治療もペットケアも巨大な産業であり、スペクターがこの分野に商機を見出すのは自然なことだ。スペクター自身も生後6カ月のコーギーを飼っている。ペット保険の市場は断片化していることで知られるが、Dutchは現状で、ペット保険でカバーされないサービスを提供し、月額39ドルで遠隔診断を行っている。

「飼い主は、愛するペットに何か問題が起きた時、私のせいだという罪悪感に苛まれる」と、スペクターは話す。

Dutchは、ペットの不安症とアレルギーの治療に重点を置いており、遠隔診断の結果、彼らに対処できる範囲を超えていると判断した場合は、最寄りの獣医師か治療施設に向かうことを薦めているという。

編集=上田裕資

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