コロナ禍での孤立による孤独とストレス ペットが癒やしに

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一部の推定では、世界人口の半分以上がペットを飼っているとされている。これは現在、特に良いことと言える。

研究者、そしておそらくペットを飼っている人は、ペットを飼うことが心身の健康に良い影響を与えることを理解している。新型コロナウイルス感染症が流行する中で、多くの人は友人や家族に会えないまま数週間から数カ月、継続して自宅に閉じ込められてきた。その中で、ペットとのスキンシップによる安らぎが特に役立つかもしれない。

南オーストラリア大学のジャネット・ヤング講師(健康科学)は「触れることが突然、命に関わるものになった」と指摘し、「誰かとの思いやりのある心地良いスキンシップは人間にとって非常に重要だ」と述べた。

誰もが抱擁を求めるわけではないが、スキンシップは健康を維持する上で重要だ。幼児の間では、情緒・行動の発達のためには前向きで人間らしいスキンシップの経験が必要とされている。こうした経験は、年齢にかかわらず全ての人の間でストレスや不安を緩和できる。

対人距離を維持する措置が実施されていることから、人とのスキンシップの機会はなかなか得られないものかもしれない。また社会的孤立や孤独感は、昨年の3月から増している。

しかし、ペットが人との触れ合い不足の穴を埋める助けになるかもしれない。新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからペットの需要が急増したのも、これで説明がつく。公衆衛生上の規制により生じるストレスや孤独の一部をペットが緩和でき、現在強く必要とされているスキンシップも提供してくれると考えるのには理由がある。

ヤングはペットと人の関係について研究している。ヤングと同僚らは、政策のための行動経済学ジャーナル(Journal of Behavioral Economics for Policy)に昨年、研究を発表した。その中でヤングらは、愛するペットに触れることでもたらされる安らぎが、新型コロナウイルスの流行中とそれ以降の健康・幸福促進政策に影響を与え得ると論じている。

ヤングが新型コロナウイルス感染症の流行前に調査の参加者にインタビューを実施した際、32人中29人がペットとのスキンシップの重要性について自発的に言及していた。

「立ち止まって考えると、それほど難しいことではない」とヤング。「動物は私たちのところに来て、触れてほしいと求める。動物は私たちとの関わりを求めている。これは、人としての私たちに対する承認のようなものだ」
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翻訳・編集=出田静

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