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2021.12.15 06:00

急成長にブレーキがかかったペロトン、起死回生の策は有効か


エクササイズメニューの充実を図るペロトン


事業立ち上げ早々にヒット商品を出したすべてのブランドに言えることだが、成長を維持するには、新たな商品の投入が不可欠だ。ペロトンも、10年近く前(正確には2012年1月)に開始した「インストラクターの指導付き在宅フィットネスサービス」が大ヒットとなって以来、新サービスを次々と導入してきた。


Peloton App (c) Peloton

かつて「フィットネス版ネットフリックス」と呼ばれた同社は、最近そのサービスを、カーディオ(有酸素運動)だけでなく筋トレにも拡大している。同社の発表データによると、今では自宅でカーディオよりも筋トレをしているユーザーの方が多いという。

加えて、総合的に体を鍛えたいのであれば、カーディオと筋トレの二本柱でエクササイズを行う必要があるとされている。これは、筆者が数年前にブランズウィック・コーポレーション(Brunswick Corporation)のライフ・フィットネス部門(その後KPSキャピタル・パートナーズに買収された)のコンサルティングを担当していた時に知ったことだ。

直近の動きとして、ペロトンは、カメラ付きのセットトップボックス「ペロトン・ガイド」(495ドル)を発売した。テレビに接続して、ユーザーが行うエクササイズを遠隔で指導する装置だ。このボックスに内蔵された、体の動きをトラッキングする機能を活用して、ユーザーがダンベル・カールなどの運動を正確な動きで行っているかをチェックするという。またトレーニング中のユーザーのフォームを表示し、画面上のインストラクターのフォームと比較することも可能だ。

このデバイスには、筋トレ・レッスンの動画ライブラリも用意されている。これは、人工知能(AI)技術を活用して、ユーザーにフィードバックを提供するものだ。

ボクシング・プログラムの導入


12月7日には、フィットネスのメニューにボクシングを加えるという発表もあった。これは、ユーザーのペロトンへの情熱に再び火をつけ、より多くの人に再び自宅で汗を流してもらうための、最新の「追加サービス」と位置づけられる。

この新たなトレーニングプログラムは、ペロトンのアプリや、エクササイズバイク、あるいはランニングマシンのタッチ画面で見ることができる。

より正確には、このプログラムは「シャドーボクシング(ボクシンググローブやサンドバッグを使用しないタイプのエクササイズ)」と呼ぶべきものだ。セルマ・サミュエルズ、ケンダル・トゥール、ラッド・ロペスといった、本格派の「経験豊富なボクサー」が指導役を務めている。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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