「4つの日課」。英国から帰国した強制隔離者「出所」までの手記

スマートフォンに入国時に入れたアプリ、「my SOS」からランダムに発信される「現在地報告」

2021年11月29日に日本政府が発表した水際対策強化により、同年11月はじめに発表された、ワクチン摂取証明書を提示することで指定施設での隔離を免除とする施策(日本入国前に滞在していた国・地域によって異なる)が撤回された。

筆者は、11月半ばから2週間の予定の英国滞在中にこの変更を知り、12月4日の日本帰国後の6日間、想定外だった隔離施設での滞在を経験した。飛行機着陸後隔離施設の部屋に入るまでには約7時間を要した(関連記事参照)。本記事では、6日間の待機中と待機終了後についてリポートする。

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午前7時前。PCR検査のアナウンスから1日は始まる


筆者が滞在した隔離場所は開業前のホテルで、建物は新しかったが、窓を開けることはできなかった。天気の良い日は日の光がさんさんと眩しく、室内の気温が汗ばむほど上がり、12月だというのに1日のうち数時間は冷房をつける必要があった。

隔離中の生活は、基本的に変わらないスケジュールが毎日繰り返された。

朝、PCR検査のアナウンスが午前7時前に流れ(筆者の場合入所後3日目と6日目に検査が行われた)、検査のある日は朝食の前に検査キットが配られる。

検査が終わってから朝食で、弁当が配られる。弁当はドアノブにビニール袋でかけられていて、配布前と配布後にアナウンスがあり、配布完了後にマスクをつけてドアを開け、ビニール袋を部屋の中に入れる。朝食の時間は案内には「7時」と記載されていたものの変動することが多く、その日の朝にPCR検査があるかどうかにもよるが、遅い場合には午前10時ごろに提供されることもあった。

昼食は12時、夕食は17時と案内されていたが、実際には2〜3時間遅れることも多々あった。昼食、夕食も同じく弁当が配布される。


(写真1 検査キット)

弁当の選択肢は「和食」「ハラル」「ビーガン」


筆者が滞在した施設の場合、食事の選択肢は和風のお弁当(幕の内弁当のようなもの)の他にハラールとビーガンが用意されていた。入所日は和食をいただいたが、筆者は通常は肉を食べない食生活を送っているため、翌日にビーガンに変更した。

ベジタリアンもビーガンも「動物性の食品を基本的に食べない」食事の指向だが、ビーガンの場合、「乳製品も卵も使わない」献立になる。つまり、ビーガンメニューはベジタリアンの人も食べられるが、逆はそうではないために、「ベジタリアン」の選択肢はなく、ビーガンのみが設けられていたのではないかと思う。

ただ、この施設のビーガンの弁当はサラダと米粉パンなどの組み合わせが多かった。ビーガン専用レストランなどでよく使われるテンペや擬似肉などがあまりなかったために満腹感が得られず、隔離2日目(到着日を0日と数える)からハラールに変更した。

ハラールは牛肉を使った献立が混じるが、受付に、牛の場合、可能であれば魚の料理に替えて欲しいとお願いしてみた。毎日、献立表と、「何が材料として使われているか」が書かれた書類が弁当と一緒に配布されたが、私の場合、リクエストが受け容れられたのか、本来牛肉のメニューの日は、メインが魚のすり身に変更されていた。食事制限の必要がある人が隔離施設に待機する場合があることも考えると、こうした柔軟な対応はもともと用意されているのだろうが、それにしても、リクエストに応えてくださったことはとてもありがたかった。


(写真2 ハラールのある日の食事)
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文=高以良 潤子 編集=石井節子

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