「4つの日課」。英国から帰国した強制隔離者「出所」までの手記

スマートフォンに入国時に入れたアプリ、「my SOS」からランダムに発信される「現在地報告」


ついに「出所」


検疫所施設での隔離最終日、6日目(入所日は0日と数える)。午前6時半ごろにPCRテストの案内アナウンスで目が覚めた。7時ごろから検査キットが配られ、検査容器に唾液を出し、容器を8時ごろまでに提出した。

その後はパソコンに向かってそれまでと同じように室内で仕事をし、朝食と昼食をとった。入所時の案内には午後2時から4時の間に検査結果の連絡が来るとあり、昼食後にはパソコン以外の荷物を片付けて連絡を待っていた。

実際に部屋の電話に連絡が来たのは午後4時を10分弱過ぎており、「結果をお伝えします」というかしこまった切り出し方から始まったために少し緊張して次の言葉を待ったが、結果は無事陰性。

パッキングが終わっているかどうかを聞かれ、完了していると答えて電話を切った。それから仕事中のパソコンを閉じ、忘れ物がないかどうか確認して、入り口のドアは指示通り開けたままにし、スーツケースと隔離中に届いた食料品の段ボール、リュック、コートを手に外に出た。エレベーターには1組ずつしか乗せてもらえなかった入所時とは違って、エレベーターでは家族連れの大きなカートと子供たちと一緒になり、1階まで降りた。

1階の受付では、体温計とカードキーを返して、プリントアウトの名簿で名前を確認されたのみ.。隔離のホテル代を請求する国も存在するが、日本の場合、検疫所の滞在は公費で賄われているため、支払いは不要だった。

ホテルの外へ! 「羽田空港に一旦戻って」解散


入所時には、空港から荷物受け取り、荷物受け取りからバス乗車、と移動するたびに、毎回、名前と整理番号を10〜15人ずつのグループになって確認されていたため待ち時間があったのだが、退所時はグループ単位での確認がなく、すぐに外に出ることができた。

そのまま屋外のバスが待つ場所に出て、1週間ぶりの外気を胸いっぱいに吸い込んだ。

ただ、検疫所での解散はできないとされており、羽田空港に一旦戻って解散するルールだったため、待機していたバスに乗り込んだ。この際にも改めて整理番号を確認されることなく、順繰りに空港に向かうバスに乗り(15人乗り込んだところで出発したので、あえて満員になるまで待たないようだった)、出所から半時間足らず、5時前には羽田空港に到着した。

そのあと、羽田空港からは川崎方面行きと品川方面行きにそれぞれ1時間おきに出ている周回バスの品川駅行きを30分ほど待って、5時半に出発。午後6時半にはバスが目的地に到着し、そこから自宅まで徒歩で20分。午後7時過ぎには無事に自宅に帰り着いた。

12月4日に羽田空港に着いてから隔離施設に6泊し、当初の帰宅予定より約1週間遅れの12月10日にようやく到着した我が家で、やっと一息つくことができた。


(写真7 バススケジュール)

出所日のスケジュール
null

筆者の検疫所での隔離は、日本出発後、海外滞在中に水際対策が強化されたために準備が万全ではなかった。この経験をふまえ、検疫所での待機が必要となる国からこれから日本に帰国される場合に持参すると役立つのではないかと思われる(個人的な)リストを下記に記す。

筆者は幸いパソコンがあればできる仕事をしており、仕事用のパソコンを持参していたため、隔離期間中も仕事は休まずに続けることが可能だった。部屋から出ることができないためもちろん不自由さはあるが、事前に準備をすればある程度快適に過ごすことも可能なのでは、と思う。

もっともこれは、単身で帰国した場合、さらに、健康に問題がない場合の個人的なリストなので、小さい子供連れの家族の場合や、持病がある場合などは、さらにニーズに応じたアイテムが必要になると思われる。よって、あくまで参考としていただきたい。

隔離施設での生活に役立つと思われる個人的なリスト





高以良潤子◎ライター、翻訳者、ジャーナリスト。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年よりAmazon勤務、プログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括するなど活躍。2022年より米国系大手エンタメ企業勤務。

文=高以良 潤子 編集=石井節子

ForbesBrandVoice

人気記事