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個人主義の時代における会社とリーダーシップ

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私はシンガポールで人材関連の企業で働き、長く人のキャリアに関わってきた。

シンガポールは3年に1回転職するのが当たり前と言われるほど、キャリア構築に積極的な国だ。キャリアップのために働きながら大学や大学院に通うのは当たり前だし、会社やリーダーもそういう個人の努力を支援し、働き方を柔軟にしたり、学費の支援をしたりすることもある。

例えば、面接の場で「4月から夜間の大学院に通ってビジネスを学ぼうと思っている」という候補者は沢山いる。その人を採用する場合、大学院を卒業するタイミングを意識しておき、そこでの学びを活かせる次の機会やプロジェクトを用意する。

または、同じ仕事を3年やっているけれど、昇格するほど活躍しているわけではない人がいる場合。このまま同じ仕事をやってもらうべきなのか? それにより周りに与える影響はどうか? など、どうやってその人のキャリアを考えるべきなのかに頭を使う。

こうした動きは「人事」の仕事のように聞こえるが、シンガポールでは「リーダー」が常に意識しているものだった。これが、日本でも最近聞かれるようになった“タレントマネジメント”だ。

「ジョブ型雇用」もひとつの選択肢


日本は今、1人1人が自らキャリアを考え、意思をもってキャリアを構築していく時代への過渡期にある。個々人のキャリアへの意識が高まり、そのために新しいことを学ぶリスキリングの重要性も増してきている。

この変化に対応すべく、多くの会社は新しい人事制度や副業の導入、リーダーシップトレーニングに取り組んでいる。

その一つの例が、巷で話題の「ジョブ型雇用」への移行だろう。ジョブ型では、これまでのメンバーシップ型で社命での異動などを通してのキャリア形成ではなく、自分の専門性を活かして、意思をもってやりたい仕事についていくことになる。

しかし、ジョブ型を導入すれば、すべてが解決するわけではない。ジョブ型にして、社内での人材の流動性が高めるためには、社内にどんな機会があるのかをオープンにする必要があるし、異動して成長する背中を押す必要も出てくる。キャリア構築に積極的な社員を応援しながらも、新しい人がすぐに入ってくる採用力も必要不可欠というわけだ。

ジョブ型如何に関わらずではあるが、そこで必要なのが、タレントマネジメントである。先のシンガポールの話に通じるが、これが今まさにすべての会社、リーダーにとって重要なキーワードになっている。

文=西野雄介

リーダーシップ
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