外観の派手さと走りの磨き加減が絶妙にマッチングしているので、気持ち良い。最近、カーメーカーは、あるモデルをより派手にするために、エアロパーツをつけたりするけど、走りの磨きは中途半端で終わってしまう傾向がある。でも、このノートオーラNISMOは極上のお寿司みたいなものだ。見た目も素敵で、味も抜群!
パワートレインは、ベースとなるノートオーラと同じで、発電用の1.2リッター直3エンジンとモーターで構成される電動パワートレイン「e-POWER」。モーター最高出力100kW、最大トルク300Nmのe-POWERシステムを採用している。
ところが、リアモーターの50kWは、先代と比較すると、なんと14倍ものパワーアップだ。ただ、加速感と味付けがNISMO風に大きく変えられている。それに、ノートオーラのSPORTモードがNISMOのECOモード相当になるよう調節したうえで、NISMOモードが新しく設定された。
アクセルペダルを踏んだ瞬間に、素早く反応するモーター特有の力強いレスポンスには感心する。アクセルを踏んだり戻したりする時の敏感な反応が心地よい。また、NISMOモードのパンチは面白い。遅れがなく強い加速がヤミツキになる。やはり、日産の「Eペダル」というワンペダルで運転できる技術は気持ちがいい。アクセルを緩めると、適度に回生ブレーキが働いて力強く減速してくれる。少し慣れが必要だけど、一回慣れたら、非常に運転しやすい。
シフトまわりも高級感のあるつくり。赤のアクセントもいい。
NISMOのバッジをつけるには、やはりサスペンションをチューニングしなければならない。フロントで36%、リアで25%バネ定数をアップしたスプリングや、モノチューブ式リアショックアブソーバーで足まわりを強化している。ESPアシストマップは「NISMO」の専用チューンとなり、感性に訴えるハンドリングを実現したという。そのコーナリング性能は実に素晴らしい。通常のノートよりも、ターンインが速いし、ロールは完璧に抑えられているし、ラインを綺麗にトレースしてくれる。ステアリングも重くもない。適度な手応えにエールを送ろう!
「電欠の心配はないEVのフィーリングは好きだけど、もうちょっとスポーティな味付けが欲しい」という人には、ノートオーラNISMOは最高のチョイスではないか。そのさりげない上品な派手さと、レースチューンの走りを持ち、286万円というプライスにも触手が動くだろう。
国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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