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2021.11.22 08:30

SDGs経営をスムーズにする「マトリックス」のつくり方

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業界ごとの違いが浮き彫りに


次にESG重点課題がSDGsのどのゴールに関係しているかをマッピングし、マトリックス化していく。直接関連するものに「●」、間接的に関連するものに「○」など、ウェイトをつけて整理する。
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企業ごとにカスタマイズしながら作成してみると、結果は業界によって多少異なることが分かる。例えば、ICT企業はゴール9、医薬品企業はゴール3、インフラ企業はゴール11に「●」が多くなる。

このように、非財務情報をすべて統合して1枚で示す鳥瞰図をつくると、SDGsもESGも理解しやすくなる。非財務情報に関しては、財務情報と異なり数値やデータなどで示すことは難しい項目も多いので、「体系」が重要なのである。

そして、マトリックスを作成・開示することにより、ESG投資家など幅広いステークホルダーの関心に応えたり、SDGsへの貢献を示したりすることができる。また、経営の重要事項(マテリアリティ)を選定することになるので、CSV(共通価値の創造)を推進するための項目を特定することもできる。
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ステークホルダーとの対話の羅針盤に


ESGに関しては、関係機関がそれぞれの立場で対話や調査をするので、企業としては何らかの羅針盤を持たないと、対応に一貫性が生まれない。そこで羅針盤として活躍するのがこのマトリックスだ。

また、マトリックスを使えば、従業員に対してもわかりやすく説明することができ、社内がワンボイス化する効果も期待できる。社内理解と社外発信の双方に大きな効果があるのだ。

なお、良くない例として、先に重要事項を選定してから、各項目に関連するSDGsゴールを列記する方法がある。これではSDGs全体をレビューしたことにならず、ピック・アンド・チューズ(選り好み)で都合の良いゴールだけでは?との誤解を招きやすい。その点マトリックスは、一覧性と網羅性があるので批判にもつながりにくい。

SDGsの18番目のゴールを提案しよう


こうしたマトリックスをつくると、自社の経営像が見えてくる。しかしそこで終わりではなく、それを基に自社の強みを生かす「レバレッジポイント」を見つけることが重要である。「マテリアリティ」と言ってもいい。それが先に紹介した「自由演技」につながる。

一方で、マトリックスをつくることでSDGsの17ゴールや169ターゲットではカバーしきれない部分を発見することもある。その場合は、それを補完するような新たなゴールを提案してもいい。

SDGsのロゴは、18番目のゴールのところが空いている。そこで、自社ならではのゴールを「18番目のゴールとして提案しよう」という動きが少なからず出てきている。

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SDGsポスター(17のアイコン 日本語版)/国連広報センター

最後に。今回のCOP26でも議論された気候変動をはじめとして、我々は今、新型コロナ対応、人権、貧困など地球規模の危機的状況に直面している。これらに総合的に対処するための羅針盤がSDGsだ。

SDGsは「自主的取り組み」が基本である。やれる人がやれるところからすぐにでも着手しなくてはならないのだ。横並び思考から抜け出して、すぐにでも自社は何をすべきか考えてほしい。

文=笹谷秀光

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