「越前がに」料理(料理イメージ) 写真提供:公益社団法人福井県観光連盟
──お酒は「越前がに」を食べる時に欠かせないと思いますが、どのようなお酒が一番合いますか?
カニ料理には、越前・若狭の地酒が一番合うと言われてます。福井県には約30の蔵元が有り、海辺に近いところにある酒蔵も多く、昔から漁師に愛され続け、「越前がに」には福井の地酒を合わせるのが王道と言われています。中には黒龍の大吟醸しずくのように、「越前がに」のうま味に合わせて醸す日本酒もあります。
また最近では、シャンパンに合わせる人も増えてきています。カニの特徴である分厚い旨みふくよかな味わいに、シャンパーニュの繊細でまろやかなストラクチャーがマッチする。特に蟹は甘みがギュッと凝縮されており、エレガントなシャルドネのアロマとの調和がとれ口の中で見事なハーモニーを奏でるからだと思います。
またフランスのシャンパーニュ地方は約9万年前は海底にあって、そこから隆起してできた土地であり、土壌の約75%は石灰質であるため、ミネラル分の多いぶどうが育ちます。ミネラル分を多く含んだシャンパーニュは特に蟹などの甲殻類とよく合います。
長期熟成タイプのシャンパーニュはトーストしたパンの香りを感じられるようになります。焼き蟹のように、焦げ目がついた味覚に更にうまみと複雑性をました料理にもこの長期熟成タイプのシャンパーニュは見事なマリアージュを楽しむことができます。
対談風景、右が刀根瑛昌社長、左が筆者。望洋楼のエントランスにて
インタビューを終えて
刀根瑛昌社長には、8年前に初めて望洋楼に伺って以来、毎年「越前がに」の時期にお会いする仲。日本海の荒波を眼下に望み、そこで一日中入れる露天風呂を楽しみ、「越前がに」を堪能する、珠玉の時間だ。その望洋楼が2年間の工事期間を終え、いよいよ11月6日の「越前がに」解禁日に合わせてリニューアルオープンする。
「越前がに」を如何においしく味わうか。刀根社長のその絶え間ない探求心には敬服する。その探求心こそが、「越前がに」の料理旅館としての地位を築き上げているのだろう。
望洋楼エントランスから日本海を望む。手前のテーブルに写り込む空と日本海の対比は素晴らしい
刀根瑛昌◎福井県坂井市のDMOさかいの副会長として、地域の魅力進行に尽力。ご自身は三国温泉の料理旅館「望洋楼」と食事処「越前蟹の坊」、東京の南青山にも「ふくい、望洋楼」を経営している。
連載:『人生100年時代 豊かな生活をおくる次世代ライフスタイル学』
過去記事はこちら>>