谷本:確実に変わってきています。それはZ世代の台頭も影響しているのではないでしょうか。Forbes JAPANがお付き合いが深いラグジュアリーブランドも、かつてのように「ブランド品で自分に付加価値をつける」という消費行動が少なくなっているように見えます。
消費者の視線は「ブランドビジネスの社会貢献」に向けられ、その共感度と消費者の購買意識が連動しているということなんですね。このコロナ禍、富裕層のふところが傷んでいないということではなく、ラグジュアリーブランドが好調な理由はそこにあるような気がします。
さらに、海外の機関投資家からよく指摘されるのは「日本のSDGsの取り組みの甘さ」です。元来SDGsは欧米がつくったルールですが、よくよく考えてみると、「論語と算盤」の時代から、私達日本人は歴史に根ざす「SDGsのDNA」を先祖からしっかりと引き継いでいるわけです。でも、それが言語化、うまく表現できないいないだけなのではと感じています。それぞれの企業の企業理念や社是を紐解けば、必ずその精神が浮かび上がってくるはずです。
ちょうどForbes JAPANは今年8月号から「Inclusive Capitalism」をテーマにした記事を企画し続けておりまして、先日トップページを飾った「セイコーエプソン」の記事の中では、このInclusive Capitalismが持つ重要なコンセプト「一人も取り残さない」というコンテキストに関し、とても考えさせられるエピソードがあるんです。
それは、セイコーエプソンさんにとって大切なステークホルダーが諏訪湖だということです。そのために、超長期的な視点を持ち、環境投資をする。これまでの価値観を大きく変えるメッセージだと思います。つまり、私たちがSDGsを考える時に「時間軸」を変える意識が必要だと思うんです。
天沼:では、メディアから見て「企業はどのようにSDGsを推進し、何を発信していけば良いのでしょうか?