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オーストラリアの最強牝馬ウィンクス(騎手はヒュー・ボウマン、2017年4月1日、シドニーロイヤルランドウィック競馬場で、Photo by Jason McCawley/GettyImages)

今、競走馬の世界がじわりと熱い。

話題のゲームやアニメなど、馬にちなんだカルチャーの人気もさることながら、今年5月にはサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏が、ディープインパクト産駒を日本の競走馬セール史上5位の4億7010万円で落札したことが話題になった。

かつての人気ドラマ「やまとなでしこ」では、松嶋菜々子扮する上昇志向の強いヒロイン神野桜子が「馬主バッジが胸に輝く男性しか相手にしない」設定だったが、これからはいよいよ「馬主」の身分が、実業界でも大きなステータスとなる時代かもしれない。

そんななか、立命館大学の教員であり、馬術選手経験のある獣医師でもある茜灯里氏に、51億円という破格値で売買されることもある「高額馬」の世界を解説していただいた。

茜氏は東大卒から新聞記者、そして宝石鑑定鑑別機関の研究員、フリーの科学ジャーナリスト、大学教員と、実にさまざまな経歴と顔を持つ。とくに小説家としては、狂騒型の「新型馬インフルエンザ」によるパンデミックに獣医師のヒロインが立ち向かう理系ミステリー、『馬疫』(光文社刊)で第24回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いている。

そんな茜氏がチラリとわれわれに見せてくれる、競走馬のセリ、歴代最高獲得賞金トップ馬を始めとする一流馬の世界とは。


走る姿の美しさと、非常に高額で取引される場合があることから、「生きる宝石」とも称される馬。中央競馬では10月に、秋のG1(高額賞金レース)シーズンが幕開けした。これから年末にかけて、オーナーに高額で購入された競走馬が、さらなる高額賞金を稼ぐために大舞台で疾走する。

ちなみに競馬で「高額」という場合、1. 走る前のセリでの値段、2. 競走馬として賞金をいくら稼いだか、3. 種牡馬の時シンジケートにいくらで売られたか、の3通りに分けて語るのが一般的だ。

競走馬のセリはデビュー前


競走馬は2歳以降にデビューする。しかし、競走馬のセリはデビュー前の当歳(0歳)や1歳の時に行われる。その馬自身の競走能力はわからない時期に、血統の良さと体格だけで値が付けられるのだ。

日本の競走馬で歴代最高額で取引されたのはディナシー(牝、6億円)だ。

2006年2月に生まれたディナシーは、同年7月のセレクトセール(日本一格式の高い馬のセリ)の時は生後5カ月だった。父が日本ダービー馬のキングカメハメハ、母がエリザベス女王杯馬のトゥザヴィクトリーと、申し分のない良血統であることが評価されたのだ。しかし、ディナシーはデビュー前の事故で、一度もレースに出られなかった。繁殖牝馬となった今も、活躍する産駒はまだ出現していない。

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Getty Images

歴代最高獲得賞金トップ3は?


一方、購入額はさほど高くなかったのに、数十倍もの賞金を稼いだオーナー孝行の馬もいる。

以下、歴代最高獲得賞金ランキング1〜3位を見てみよう。

3位:「テイエムオペラオー」、稼いだ賞金は“自分の値段の180倍”

歴代最高獲得賞金ランキング3位(18億3519万円)のテイエムオペラオーは1997年、1歳の時にセリにかけられた。落札価格は1000万円で、180倍もの賞金を稼いだことになる。

2位:「キタサンブラック」、オーナーは北島三郎氏

演歌歌手の北島三郎氏がオーナーのキタサンブラックは、同ランキング2位(18億7684万円)だ。この馬はセリを通さずに、北島氏が直接、生産牧場から買った。購入価格は350万円と言われており、実に500倍以上の賞金を獲得した。

文=茜灯里 編集=石井節子

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