世界のすごい「高額競走馬」事情。51億円の種牡馬も

オーストラリアの最強牝馬ウィンクス(騎手はヒュー・ボウマン、2017年4月1日、シドニーロイヤルランドウィック競馬場で、Photo by Jason McCawley/GettyImages)


1位:「アーモンドアイ」、6万円が383万円に

同ランキング1位(19億1526万円)のアーモンドアイは、一人のオーナーではなく一口6万円×500口で馬主を募った馬だ。一口馬主たちが出資した6万円は、383万円の価値になった。

「種牡馬」として51億円で売却


競走馬はレースのみで稼ぐのではない。良血統のオスがレースで活躍すると、種牡馬として高額で取引される。日本の競走馬の血統を一新したアメリカ産の種牡馬サンデーサイレンスの血を引くディープインパクトは、G1レース7勝を含む14戦12勝と抜群の活躍をした。種牡馬になった時は、日本歴代種牡馬ランキング1位の金額、51億円でシンジケート(主に種牡馬について組織される株主の集まり)に売却された。

種牡馬シンジケートは8500万円の出資額で60株を募集して、リスクと種付け料の利益を分担した。購入者は毎年1頭分の種付け権利を持ち、その権利を譲渡してもよい。ディープインパクトは3000万円で200頭以上に種付けした年もあるので、1年で元が取れて利益に転じたことになる。

賞金とともに名誉が──


世界に目を向けると、さらに高額が付けられた競走馬がいる。

競走馬になる前のセリで世界の最高落札価格記録を持つザグリーンモンキーは、2006年の2歳の時に、米フロリダ州のコルダー競馬場で行われたセリで1600万ドル(当時のレートで約18億4000万円)の値で取引された。

セリの前の展示走行で最後の200mを9.8秒(時速73.5km)で駆け抜けたため、世界最大級の競走馬生産牧場クールモアと、世界一の馬主であるアラブ首長国連邦のモハメド殿下が、長時間競り合った。競走馬のトップスピードは時速60~70kmとされる中、破格のスピードだったからだ。

しかし、競走馬デビューすると3戦して最高で3位になっただけで、1万440ドル(約115万円)の獲得賞金で引退した。その後、種牡馬になったが産駒もさほど活躍せず、2018年に死亡した。

次に、世界の獲得賞金高額馬を見てみよう。アメリカで活躍したアロゲートは、サウジアラビアの王族ハリード・ビン・アブドゥッラー殿下の馬で、約1367万ポンド(約19億円)を獲得した。2017年にドバイワールドカップに勝利したことで、当時、世界最高獲得賞金馬だったテイエムオペラオーを抜いて歴代1位に躍り出た。

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2017年3月23日、ドバイワールドカップで勝利した際のアロゲート(South China Morning Post /Getty Images)
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文=茜灯里 編集=石井節子

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