国の代表に選ばれた参加者(チーム)には、ワークスペースや研究開発のためのリソース、さらに関連する業界でのトップクラスの知見を持つメンターが併走するという、力強いバックアップを得る。さらに、今年は新しいツールを導入し、さらに参加者をグロースさせるという。
そのツールは「Red Bull Wingfinder」という、心理学者らが開発した無料のアセスメントツールだ。これを活用することで、自分の長所についての詳細レポートや自分のポテンシャルを最大限引き出すためのヒントが得られるというものだ。
こうして、約5週間の期間でアイデアをさらに現実的なものへと磨き上げるなかで、各国代表のチームはただプロジェクトに参加するだけでなく、自分たちのスキルをさらに高めていくことができるという点が大いなる魅力のひとつ。
プロジェクトのファイナルとなる「グローバルワークショップ」には、世界各国のファイナリストが集う。昨年はCOVID-19の影響もありバーチャル空間での開催となったが、38カ国の代表が集結。世界中のビジョナリーによるレクチャーや、他国代表のチームとのネットワーキングを経て、ファイナルピッチへと進み、最終的にトップ3、そしてグローバルウィナーが決定した。
今年については、グローバルファイナルが2021年12月13日から15日にかけて、トルコのイスタンブールで開催することが予定されている。リアルな場で世界各国の代表同士で切磋琢磨できることは、今年の応募者にとっては朗報だろう。
騒音による発電を提案した2020日本代表「HummingBird」
なお、Red Bull Basement 2020では世界で3800組を超す学生チームからの応募があったというのは先述の通りだが、日本からは、騒音から発電するというアイデアを唱えたHummingBirdチームが代表に選ばれた。
2020年日本代表「HummingBird」の須田隆太朗(右)と袴谷優介(左)(c)Red Bull Japan
「生活のなかで騒音と呼ばれ、悪者扱いされている音を、電力に変換することで騒音を悪者ではなくヒーローにしたいと考えました」と語る彼らには、2人のメンターがついた。元ユニクロ上席執行役員で現在はトーチリレー代表取締役の神保拓也と、マクアケ専門性執行役員/R&Dプロデューサーの北原成憲だ。
神保は、彼らに「生み出したアイデアを絶対に育てきる」という胆力を持って欲しかったといい、学生を子供扱いすることなく厳しく鍛えた。マクアケの北原は彼らに何度もこう問い続けた。「それは、君たちが本当にやりたいことなの?」と。
日本代表に選ばれてからグローバルファイナルまではわずか5週間。そのわずかな期間で彼らのビジョンは明確なものへと進化し、プロトタイプも作ることができた。結果、グローバルファイナルではトップ10まで進出するという成果を挙げることができた。