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Forbes JAPAN Web編集部

PostCoffee CEO 下村領(撮影=yOU(河﨑夕子))

定額課金によって商品やサービスを利用できる「サブスクリプション」。商品をユーザーに売り切る形から転換し、ビジネスモデルとしてサブスクを取り入れる企業は年々増えてきている。

新規参入も多く、競争が激化するなか、各界のトップランナーたちはいかにサブスク事業を成功させているのか。この連載「サブスク激戦区」では、サブスクを軌道に載せたプレイヤーたちに、ファン獲得や継続課金の秘訣、競合との差別化のポイントなどを聞いていく。第一回は、コーヒー業界を取り上げる。


「国内流通量11%」の世界


コーヒー市場は、サブスクが乱立する業界の一つだ。導入企業は筆者が調べただけでも国内で十数社に上る。PostCoffeeは、その中で実績を上げるスタートアップ。日本では流通量の少ない「スペシャルティコーヒー」に商機を見出し、2018年9月に下村領(しもむらりょう)が立ち上げた。

コーヒーと一口に言っても、一般的に市場に出回っているものは、コモディディコーヒーやコマーシャルコーヒーと呼ばれる。インスタントや缶コーヒーがその代表例で、生産国ごとにブレンドされた豆が原料で一度に10〜20トンまたはそれ以上の単位で輸入される。

一方でスペシャルティコーヒーは、スペシャルティコーヒー協会が認定したQグレーダーという有資格者が評価し、100点満点中80点以上を獲得したコーヒの呼称だ。

口の中に含んだ質感、甘さや酸味のほか、豆が取れた農園からカップとして提供されるまでどのような品質管理がされてきたかなど、厳しい審査基準が設けられている。

農園ごとに分類されるため生産量が少なく、大量輸入ができないため、大手コーヒーチェーンなどは手を出しにくい。実際、日本でのスペシャルティコーヒー豆の流通量は、全体の11%ほどだ。PostCoffeeは、そのコアな領域をターゲットとしている。

「もともとは缶コーヒーばかり飲む“自称コーヒー好き”だった。ある時サードウェーブ系のコーヒーショップでスペシャルティコーヒーに出会い、『こんなに美味しいコーヒーがあったのになぜ知らなかったのか』と損した気分になった」

下村はそうしてスペシャルティコーヒーに魅了され、当時経営していたデザインやシステム開発を手掛ける事業から手を引き、PostCoffeeを立ち上げた。

自分の声が届く存在


PostCoffeeのサービスは、「コーヒー診断」から始まる。ホームページの診断画面で質問に答えていくと、自分に合ったコーヒーがレコメンドされる。「PostCoffeeを始める」を押すとサブスクがスタートし、月額1598円(税込み)で、3種類のコーヒー(豆または粉)が届く。

約20カ国45種類の豆が常時入れ替わり、なにが届くかは箱を開けるまで分からない。

PostCoffee
撮影=yOU(河﨑夕子)

下村がそのベータ版をリリースしたのは2019年3月。当時は「サブスク」の認知度が今よりも低く、「言葉自体がまだ浸透しておらず『定期便』という表現でユーザーに訴求した」と振り返る。

20年2月に正式版をリリースすると、コロナの巣ごもり需要も追い風となり、会員数は21年7月までのおよそ1年半で約25倍に成長。現在も顧客数は毎月20%ずつ増加している。

コロナ禍で、下村は消費者にも大きな変化を感じている。

文=露原直人 撮影=yOU(河﨑夕子)

コーヒーサブスク激戦区

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