非mRNA型予防薬「murak抗体(ムラック抗体)」の開発者、東京理科大学名誉教授 村上康文氏は、「同一の抗原で繰り返し免疫化を行った場合、5回目から死亡する例が激増。7~8回繰り返すと半分近くが死亡するという動物での研究結果もある」とも話すが、Forbes JAPANでは上記(「まず、国が推奨しているように2回の接種を行うことが一般的な選択肢である」)を前提に、村上康文氏に、今後についての提言を寄稿していただいた。
9月9日に行った研究成果報告会に関する記事は多くの注目を集め、たくさんのコメントが寄せられています。それらのコメントを受け、今後のワクチン戦略についての提言をまとめました。現在COVID19の患者さんたちの命を救うために尽力されている医療関係者に感謝と敬意の念を表すとともに、以下によって、パンデミックの収束をみなさんとともに考え、パンデミックに対する不安を除ければ幸いです。
パンデミック収束に、ワクチンは重要な役割を担う
まず、新型コロナウイルスのパンデミックの収束のためにワクチンは大変重要な役割を担っています。
ただ、ウイルスがDNA型であれば、ワクチン接種によってすでにパンデミックは収束しているでしょうが、DNA型ウイルスと比べて突然変異の確率が高いSARS-CoV-2においては、状況が異なることは科学的な事実です。さまざまな変異株の出現により事態は複雑なものになり、パンデミックの収束が見通せなくなりつつあります。このような時こそ、科学的な視点で全体を俯瞰し正しい方向に進んでいくことが重要であると考えます。
ヒトでのワクチン接種は間隔をあけることが多いため、複数回接種でのリスクは動物よりも低い
今回の新型コロナウイルスのmRNA型ワクチンは非常に高いレベルの抗体誘導能を持っており、その効果は時間の経過ともに低下していくものの、高齢者や基礎疾患を持つ方々の重症化リスクや死亡リスクを下げる意味では大きな貢献をしたものと思います。また「2回接種」では、以下で述べているような多数回接種で考えられるリスクを心配する必要はない、と考えるべきでしょう。
そして、追加免疫に関する実験についてですが、高い活性を持つ抗体作製を目的とした動物での実験では、その間隔を詰めて行います。一方で、ヒトでのワクチン接種においては間隔をあけることが多いため、動物でのケースよりリスクは低くなります。