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WHO テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務総長(Jaber Abdulkhaleg/Anadolu Agency via Getty Images)

世界保健機関(WHO)は先進国に対し、新型コロナウイルスのブースターショット(追加接種)の実施を少なくとも年末まで待つよう呼び掛けている。テドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務総長は、接種を完了した「健康な人たち」を対象とする追加接種は、来年から始めるべきだと主張する。

事務局長は8月初めにも、「9月末までは追加接種を開始しないように」と訴えていた。だが、先ごろ行った記者会見で、「世界的な状況にはその後も変化が見られない」と発言。裕福な国々は世界中のハイリスクの人々に1回目の接種を受けてもらうための「十分な行動を取っていない」と述べている。

先進国は国連が支援する国際的なワクチン分配のための枠組み「COVAXファシリティ」を通じて、10億回分のワクチンを低中所得国に寄付すると約束した。だが、事務総長によると、これまでに実際に届けられたのは、このうちのわずか15%程度にとどまっている。

テドロス事務局長はまた、現在までに承認され、使用されているワクチンは、感染した場合の重症化や死亡のリスクに対して非常に高い有効性を示しており、これまでの研究結果から追加接種が必要だとされているのは、「免疫不全の人だけだ」と指摘している。

事務局長によれば、これまでに世界中で接種された50億回分のワクチンのうち、80%は高~上位中所得国で使用された。そうした中、米国をはじめますます多くの先進国が、ブースターショットの開始に向けて動き始めている。

「より危険な」変異株を警戒


米政府は、モデルナ製とファイザー/ビオンテック製のワクチンは接種から6カ月以上が経過すると軽症~中等症を防ぐ効果が低下するとのデータの公表を受け、食品医薬品局(FDA)と疾病対策センター(CDC)の承認が得られれば9月中に追加接種を開始するとの計画を発表した。

だが、一部の専門家らは、データは不完全であり、それに基づいて実施を決めるのは、早計だと主張している。これまでの研究では、感染を防ぐ効果は時間とともに低下する可能性があるものの、重症化や入院、死亡のリスクに対しては、高い有効性が維持されるとの結果が示されている。

専門家はこれまでも、不平等なワクチンの配布はより危険な変異株の出現につながる恐れがあると警告してきた。テドロス事務局長は先進国にブースター接種の実施を2カ月遅らせるよう要請した8月にも、ワクチン接種率が低い国々でこのウイルスに流行を継続させる機会が与えられれば、「より強力な」変異株が出現することになりうると警鐘を鳴らしていた。

編集=木内涼子

コロナワクチン

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