経済・社会

2021.09.10 20:00

9.11から20年 アメリカ上空にいた私が見た異変

Getty Images


民間機の空路は、国際情勢を如実には反映している。14年7月、マレーシア航空がウクライナ上空で撃墜された。翌年に東京からイスタンブールに向かうと、ターキッシュ・エアはウクライナ上空を極端に避け南下するルートを取った。17年にISがイラクから排除されるまで、ドバイから英国方面に向かう機はイラク上空を回避、迂回の上イラン上空を航行した。
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一昨年、東京からドバイに向かう際、エミレーツ航空はアフガン上空を通過できた。眼下には赤土色の荒涼としたアフガニスタンが見えたものだ。その土地の合間合間に線を引いたような道路があり、ほんの少しだが人々の営みが垣間見えた。だが、米軍撤退の現在、どこの航空会社もその空路をなぞることはなくなるだろう。

今の10代は持ち得ない記憶


911当時、まだ30代だった私も50歳をとうに過ぎた。15年11月13日、私自身50歳の誕生日には、130名以上が亡くなるパリ同時多発テロがISの手により発生した。

西側諸国とイスラム原理主義の対立、この世界構造は、かのノストラダムスも予言したとされる。99年に世界が終わることはなかったが、現在の国際情勢を言い当てていたのか…と穿った見方さえさせられる。
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世界貿易センタービル崩壊後、15年には、新しい「ワン・ワールド・トレードセンター・ビル」が再興された。しかし、その存在はまだまだニューヨークの象徴たるを得ない、虚空の存在に思えてならない。

あの衝撃的な映像は、日本の「お茶の間」にも届けられたが、その記憶を、今の10代は持ち得ない。このテロ活動の拠点とされたアフガニスタンは、20年の時を経てこの8月、再びタリバンの支配下となった。

2001年9月11日からちょうど20年、世界はいまだ彷徨うばかりだ。


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文=松永裕司(Forbes JAPAN オフィシャルコラムニスト) 編集=露原直人

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