・パンデミックにより精神疾患が増加しており、メンタルウェルネスを高めていくことは、社会全体の責任となっています。
・早期診断とセルフケアは、精神疾患の進行を抑え、医療費を削減することにつながります。
・理想的なセルフケアは、幅広いメンタルヘルスサービスを誰にでも利用できるようにすることで実現します。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が心に与える影響は何年も続くと考えられています。そのため、セルフケアは決してぜいたくではなく、公衆衛生に不可欠なものとなりました。メンタルウェルネスに焦点を当てることは、社会全体の責任です。
世界の一部地域では、新型コロナウイルスの第3波・第4波が急拡大していますが、ワクチン接種が進んだ国では、接種でウイルスや変異株を抑制できるという初期の指摘に期待をかけて慎重に経済を再開。同時に、将来を見据えると、メンタルヘルスの支援・改善のための解決策も探る必要があります。
米国では、不安やうつ病を訴える成人は2019年1月~6月には10人に1人の割合でしたが、パンデミックの間にこの数字は全体の半数近くまで増加し、そこからあまり変化がありません。フランスではうつ病の症例が2倍になりました。このようなメンタルヘルスの懸念が世界中で高まっていることがわかります。
より大きな影響を受けているのが若年層、有色人種やエッセンシャルワーカーであり、メンタルヘルス疾患の既往症がない人でもこれは同じです。また、ロックダウンによってメンタルヘルスサービスが利用しにくくなっており、ケアに滞りが生じています。言うまでもなく、テレワークというライフスタイルはもう1年以上前から続いており、テクノロジー的につながっていても、同僚から切り離されたように感じることはよくあることです。
パンデミックによって、メンタルヘルスとウェルネスが非常に注目されるようになりました。世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター、英国王室、世界セルフケア連盟など多くの団体がメンタルヘルスを優先事項として掲げており、精神疾患に対する偏見をなくし、利用可能な解決策に対する意識を高めるために、大規模な公共サービスキャンペーンを展開しています。
早期介入と予防によって、臨床医にかかる大きな負担を防ぐことが多いため、メンタルヘルスに気をつけることは個人に、そして将来的には公衆衛生制度にも恩恵をもたらします。