詳しく説明しよう。
学生ローン
米国では、約4500万人が総額1兆7000億ドルの学生ローンを抱えている。そこで、世界最大の雇用者数を誇る民間企業である米ウォルマートは、アソシエートと呼ばれる自社従業員が、学生ローンの負債を抱えずに大学やカレッジに進学できるよう支援することにした。その詳細は次のとおりだ。
・ウォルマートが、従業員の学費全額と教科書代を負担する。
・この支援は、同社の社員教育プログラム「Live Better U」を通じて行われる。
・この制度により、米国内のウォルマートで働くパートタイムとフルタイム従業員のほか、系列の会員制スーパーであるサムズクラブの従業員、合わせて約150万人が、学生ローンを借りずに学位取得や専門技術習得が可能になる。
・ウォルマートは、今後5年間で10億ドルを投じ、キャリアを重視したトレーニングや能力開発を進める。
同社の学習・リーダーシップ担当シニア・バイスプレジデントのロレイン・ストムスキーは、「私たちは、アソシエートがキャリアを積んでいけるよう、未来へとつながる機会を提供する。そうすれば、彼らはこれからも、自分自身のため、家族のために暮らしを向上させていくことができる」と語った。「今回の投資もまた、アソシエートが自らの情熱と目標を追求することを後押しするとともに、社会人学生の学位取得をしばしば妨げている障壁を取り除くうえで役に立つだろう」
無料で大学に進学するには
ウォルマートの従業員が、同社で働きながらオンラインで資格や学位を無料取得できるのは、次の大学やカレッジだ。
・ブランドマン大学
・ジョンソン&ウェールズ大学
・パスストリーム(デジタルスキルが学習できるオンラインプラットフォーム)
・ペン・フォスター大学
・パデュー大学グローバル
・サザン・ニューハンプシャー大学
・アリゾナ大学
・デンバー大学
・Voxy EnGen(IT教育などを提供するオンラインプラットフォーム)
・ウィルミントン大学
ウォルマートはこれまで、従業員が在学期間中に1日1ドルの学費負担でカレッジや大学に通える制度を2018年から実施していた。しかし今後は、1日1ドルという金銭負担をなくし、より多くの従業員が、学費を気にすることなく高等教育を受けられるようになる。
同社従業員は事実上、学費や教科書代を支払うために学生ローンを組む必要がなくなるわけだ。学生ローンを借りる前に返済が免除されるようなものであり、事実上の大学無償化と考えていいだろう。