ワクチンの感染抑止効果、米で大学生対象に大規模調査

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米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、感染拡大を抑える効果があるのかを調べる全米規模の研究が進められている。同ワクチンはウイルスに感染した人の重症化を防ぐことはわかっているが、感染した人がほかの人にウイルスを広げるのも防ぐのか、大学生1万2000人の参加を募って調べる。

「Prevent COVID U」と名づけられたこの研究は、シアトルのフレッド・ハッチンソンがん研究センターに本部を置く新型コロナウイルス感染症予防ネットワーク(CoVPN)の研究者らが考案し、実施しているもの。アンソニー・ファウチ所長の米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)も支援している。

同がん研究センターの元所長で、今回の研究を率いるラリー・コリーによると、研究計画はモデルナや米ファイザーの新型コロナワクチンに関して、接種を受けた人が感染し、無症状のまま他人にウイルスを広げる可能性があるのかが明らかになっていなかった昨年12月に着手されたという。

「鼻からの集中的な検体採取を用い、正確な感染経過を突き止められるような、従来とは異なる研究デザインが必要でした」(コリー)

研究では、以前に新型コロナワクチンを受けたことのない健康な18〜26歳のボランティアの被験者に、モデルナ製のワクチンを投与する。無作為に選んだ半数の6000人にはワクチンを即時に、残り半数は4カ月後に接種してもらう。被験者は4カ月にわたって毎日鼻から検体を採取し、アプリで質問に回答するほか、週2回大学で検査も受ける。

被験者の申込みは先週、米国内の21大学で始まった。被験者には現地の生活コストに応じて謝礼が支払われ、たとえば600人を募集するバージニア大学では1人あたり最大590ドル(約6万5000円)を支給するという。

ファウチは研究の意義について「ワクチンの接種を受けた人が感染する場合、それはどれくらいの頻度で起きるのか、また、そうした人が無症状の場合、鼻にはどれくらいのウイルスがあるのか、濃厚接触者にウイルスをうつすのかといった疑問」に答えるものだとコメント。ワクチン接種後のマスク着用やソーシャルディスタンシングについて、科学に基づく判断をするのにも役立つと強調している。

編集=江戸伸禎

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