世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

各地で進むワクチン接種 合わせてワクチンパスポート構想の議論が活発化している(Getty Images)

ハワイでは、新型コロナウイルスのワクチン接種開始から3カ月が経ち、感染者数が確実に減少へ転じている。2020年12月は1日の新規感染者数が100~150人だったが、2月後半以降は50人以下にまで減り、ワクチンの効果が出ているものとみられている。

そんなハワイで、次なるステップとして浮上しているのが、ワクチン接種の証明書となる「ワクチンパスポート」の構想だ。ハワイ在住の筆者がお伝えする。

観光業界が期待。ハワイへの訪問促進へ


ハワイのワクチンパスポートの構想は、ハワイ州副知事を務め、 家庭医や緊急医でもあるジョッシュ・グリーン氏が提案した。ワクチンを接種した人に対して、現在ハワイ州が求めている「10日間の自己隔離を免除する」という内容だ。

米疾病対策センター(CDC)では2月、2回目のワクチン接種を行ってから免疫を獲得できるまでの14日間が経過し、かつ最後の接種から3カ月以内で無症状の人は、隔離措置を取らなくてもよいとの見解を発表した。この条件を満たす人には隔離無しでハワイでの滞在を楽しんでもらい、ハワイ旅行を促進するのが、このワクチンパスポートの狙いだ。

これに、ハワイ宿泊観光協会の幹部がすぐに歓迎の意を表した。2020年のハワイ旅行者数は267万人と前年のわずか26.2%にとどまり、最近のホテルの稼働率は20%前後という。ハワイでは2020年10月から、陰性証明で隔離を免除するシステムを導入し、これによって多くのホテルが営業を再開している。

しかし、依然として低い水準にある稼働率をさらに上げていくためには、感染防止対策を講じながら、人々の往来をさらに促す必要がある。その施策として、ワクチンパスポートの導入に期待が高まっているようだ。

ハワイ
ホテルの稼働率が20%前後止まりのハワイ。その打開策としても構想が歓迎される一方で課題もある(Unsplash)

グリーン副知事はワクチンパスポートを、4月1日よりハワイ州内の島間での移動に導入し、5月1日には米国本土を対象に実施したい考えだ。このシステムが始まれば、やがて日本を含む海外からの往来に対象が拡大されるだろう。

ワクチンパスポートは、イゲ州知事の承認を経て導入されることになるが、イゲ知事はまだ最終判断を下していない。ワクチン接種から3カ月以上経過した人の免疫について、まだ明らかとなっていない。

さらに、1回の接種のみで免疫を獲得できるというジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが先日アメリカで承認され、今後は2回の接種が必要なワクチンと、1回の接種だけのワクチンが混在することなど、接種状況の管理体制が課題となってくるだろう。

アメリカ、EU各国で活発化するワクチンパスポートの議論


州や国を超えて人々の往来を促進するワクチンパスポートのスムーズな導入には、統一された管理システムが欠かせない。アメリカであれば、接種記録の管理方法や往来条件を州ごとに設けるのではなく、国全体で同じ管理体制を敷く必要があるだろう。アメリカのバイデン大統領は2月、ワクチンパスポートの構想が実現可能か検討するよう、政府機関に命じる大統領令に署名している。

ハワイが単独で導入を踏み切るのではなく、連邦政府や他州との連携が、ワクチンパスポート構想の成功の鍵となっていくと考えられる。ちなみに現在ハワイでは、ワクチンを接種した人には紙のワクチン接種カードを配布しており、これをオンラインやデジタルで管理するシステムはまだ無い。

文=佐藤まきこ

PICK UP

あなたにおすすめ