アメリカと同様に、ワクチン接種が進んでいるEUでは、ワクチンパスポートの導入準備を開始。3月末までに法案を提出することが明らかとなっている。さらに、マイクロソフト、オラクル、セールスフォース・ドットコムなどの有志連合は、世界共通で利用できるワクチンパスポートのアプリを開発すると1月に発表した。世界の国々や企業の間で、ワクチンパスポートの議論や開発が活発化しているようだ。
イスラエル、サウジアラビアが先行導入 現状は?
そのような中、イスラエルが2月21日、世界で先陣を切ってワクチンパスポートの導入を開始した。イスラエルではワクチン接種のペースが世界で最も速く、すでに国民のおよそ1/3が接種を終えている。
そこで2回目の接種を終えた人に、「グリーンパス」の発行を開始した。3度のロックダウンを行った同国では、多くのビジネスの規制を徐々に緩和してきており、営業を再開した店舗ではグリーンパスを保持している人のみを利用対象にするなど、グリーンパスが安全な経済活動の再開に活用されており、世界がこの動向に注目している。
またサウジアラビアでは、アプリで接種状況を管理するデジタルのワクチンパスポートシステムを2月に開始した。2回目の接種から2週間が経過すると、その情報がシステム上に登録され、それ以降はアプリのQRコードを読み取ることでワクチン接種の情報を確認できるという。
さらに、デンマークやスウェーデンなども、近いうちに同様のシステムが開始される予定と報じられている。
世界中でワクチンパスポートの議論が本格化する中、管理体制の問題はもちろん、懸念事項も多い。ワクチンパスポートが一般化すると、ワクチンの接種を希望しない人への差別に繋がるなど、倫理的な問題が生じる可能性が指摘されている。しかしハワイでは、ワクチンを接種しない人に対しては、これまでと同じく陰性証明で隔離が免除となる体制を継続する予定だ。
ハワイでは現在、約47万回分の接種が終わり、州の人口の21.1%が少なくとも1回のワクチン接種を終えている。現在、75歳以上の高齢者やフロントラインのエッセンシャルワーカーが接種対象となるフェーズ1bから、65〜74歳以上が対象となるフェーズ1cの段階に移ったが、ホテル従業員なども優先的に接種対象となる案が出ている。それと同時にワクチンパスポートがハワイやアメリカで開始することで、ハワイの観光業の回復スピードのアップに繋がることを願いたい。