昨年末に英国で最初に確認された変異株「B.1.1.7」の感染者は、イタリア国内では2月上旬に初めて報告された。また、欧州各国の新規感染者は同月18日までに、半数以上がこの変異株への感染者となっている。
イタリアでは保健相が先ごろ、変異株への感染者が警戒すべきペースで増加していることを認めるとともに、感染は特に「幼い子供たちの間」で急速に広がっているとの憂慮すべき情報を公開。これを受け、同国は学校での感染対策を強化し、感染者が多い地域では小学校と託児施設が閉鎖されている。
こうしたイタリアの危機的な現状から、その他の国々が学ぶべき教訓はいくつかある。私たちはこれまで、新型コロナウイルス感染症は若者、特に小学校に通う児童や幼稚園児ではなく、高齢者が恐れるべきものだと考えてきた。だが、その考えは誤っていたということもその一つだ──イタリアの新規感染者は、今や若者たちの数が高齢者を上回っている。
科学者たちはパンデミックの発生以来、感染者に占める子供の割合が非常に小さいことを疑問に思ってきた。時間の経過とともに研究が進み、子供は大人より新型コロナウイルスが細胞に感染するときに結合する受容体タンパク質(ACE2受容体)が少ないことが、理由の一つとの見方が示されるようになっている。
だが、「B.1.1.7」をはじめとする変異株の多くは、ACE2受容体に結合する力を強めている。これが意味するのは、ACE2受容体が少ない子供たちでも感染する可能性が高まるということだ。
そして、さらに問題を悪化させるのは、過去の(その他のウイルスへの)感染などによって免疫を獲得している大人に比べ、子供たちは低年齢であるほど、免疫力が弱いということだ。