自動運転技術は発展を続けており、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社の運転補助技術を利用したロボットタクシーがまもなく運用可能となり、同社の時価総額を正当化できるようになると主張している。ウェイモや滴滴出行、オートXなどは既に米国や中国、ロシアの一部地域で完全な自律走行タクシーを運行。ボルボなどの古参企業も、こうしたタイプの車の運用や、他企業に対する自律走行車の供給を目指している。
これに対し、GMなどの企業は2030年頃までに自律走行車を一般向けに直接販売することを目指している。これは、自家用車が完全に活用されていない現状を無視するものだ。一般的な所有者が車を利用する時間は全体の3%ほどのみで、残りの97%は車庫か道路に駐車したままとなっている。しかし知っての通り、人はたとえ頻繁に使用しないものであっても所有したがるものだ。自宅のプライベートプールがその例だ。
人々が自律走行車を購入するのであれば、それに使われているセンサーや技術のコストは今後も下がり続けなければならない。例えばLiDAR(ライダー)センサーは、2015年には約7万5000ドル(約820万円)の「回るKFCバケット」と呼ばれていたが、現在はサイズがソフトドリンク缶以下となり、価格も100ドル(約1万1000円)へと大幅に低下した。
一方、フォルクスワーゲンは定額サービスを検討中で、1時間当たりの料金は8.5ドル(約900円)ほどと推定している。同社は2022年第2四半期から同社の電気自動車「ID.3」と「ID.4」の所有者に対し、航続距離の増加や機能の追加、充電時のエンターテインメントシステムなどを提供する定額サービスを始める計画だ。
このアイデアは問題をはらむ。購入者はメーカーから自分の車が持つ機能のオン・オフをコントロールされることになり、これについては多くのユーザーが「料金を支払えばこうしたサービスが利用できる」ではなく、「料金を支払わなければこうしたサービスを取り上げられる」と受け取るかもしれず、車の所有者はこうした利用形態に慣れていない。