テクノロジー

2021.07.20 08:00

自立走行車の未来 商品となるのか、それともサービスとなるのか


いずれにせよ、フォルクスワーゲンが描いているのは、人々が車を所有し続ける未来だ。しかし、このシナリオには問題がある。それは、技術の実現やコスト、事業モデルというよりかは、都市設計に関係した問題だ。今の車を自律走行車で置き換えるだけでは、交通渋滞の問題は解決されない。多くの人は、用事や子どもの学校への送迎に車を使い、駐車場料金の支払いを避けるために路上駐車を続け、道路の占有率は減ることはなく増えるだろう。

そうではなく、私たちは路上の車を減らし、都市を歩行者や公共交通機関、マイクロモビリティの場所とすることで、生活の質を向上させるべきだ。このモデルでは、自律走行車を現在の個人所有型モデルではなく、サービスとして考える。

従来型の自動車企業から見れば、個人が自動車を所有しないモデルは自社の収益を脅かす存在だ。そして、多数の自動車を運用して行うサービスは、自社にとって経験のない異なる事業形態となる。ただこれは、自動車メーカーの未来がかかった問題であるだけではなく、私たちがどのような街に住みたいかという問題でもある。未来に無理やり引きずり込まれなければならないのは、古参自動車企業だけではない。消費者である私たちも、車をステータスシンボルとして愛するようになっているからだ。

個人所有モデルからサービスとしての交通機関の一つに移行するには、広範な普及や魅力的な価格設定が必要となる。また、大きさについても、これまで一般的だった不必要に大きなサイズから離れた柔軟性が必要だ(人は自家用車を毎日の通勤のために一人で使用しているが、年2~3回の旅行のために日々の利用にはとうてい必要ないサイズの車を買っている)。効率性と持続可能性を考慮する必要がある。

私たちは、サービスとしての交通機関モデルに向け進むことができるだろうか? それとも、数十年後も車を購入して3%の時間しか使用しないことを続けているだろうか? 勝つのは従来型の自動車会社か、それとも良識だろうか?

編集=遠藤宗生

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