17歳でうつ病に メンタルヘルスのSNSで共感される、NY大生の原点

blossom the project代表 中川ホフマン愛=ニューヨークで撮影


私自身、日本の高校に通っていた17歳の頃、うつ病と診断され、不登校になった経験があります。毎朝駅に向かう途中に桜の木が1本だけあって、寒くて暗い日々の後に1週間だけ咲いていることに励まされていました。私たちの人生もすごい辛い時期もあるし、色々な問題を抱えていても、その先に希望が待っていると思えました。

blossomは咲くという意味、桜は日本の文化で「新しい始まり」の象徴でもあります。発信の形式は決めずに、常に変化していけるように「blossom the project」と名付けました。

──日本のインフルエンサーたちもインスタでBLM運動に呼応していましたが、黒人差別を反対するムーブメントを支持する人への批判も多くありました。人種差別に思うことは?

私もセンシティブなトピックを発信すると必ず批判がきます。ただ、私が発信するのは基本的な人権問題であり、政治的な主張ではありません。それでも「アメリカの考えを押し付けている」と言われることもありますが、決して私がアメリカに住んでいるからその考えを押し付けているのではないです。私自身も日本に約10年間住んでいたのに「ハーフ」と言われて日本人として扱ってもらえなかったり、アメリカでは「日本人でしょ」と言われたり、どこにいても居場所がないように感じたことも。

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また「日本人差別もあるのに、なぜ黒人にフォーカスするんだ」という声もありますが、近年アメリカで最もひどい人種差別を受けてきたのが黒人の人たち。コロナ禍ではアジア人差別も横行していて、他の人種はどうでもいいということではない。

blossomの目標は、人々の考えを変えようとするのではなく、話すきっかけを作ること。メンタルヘルスと社会問題について当たり前に話し合えるようになってほしい。それがアクションと社会の変化に繋がっていきます。すべてのトピックスは自分たちが熱心に思っていることです。blossomの目標を信じて発信を続けてます。

──アメリカと日本のメンタルヘルスケアについての違いについて、どう感じていますか。

大学入学のオリエンテーションの時、カウンセリングや大学内のメンタルヘルス支援の施設などが紹介されました。さらに私は学生同士でカウンセリングなどを行うサークル「REACH」に入って、専門家からカウンセリングやセルフケアの方法を教わりました。私が高校生の時にこのような知識があったら、本当に助かっていたなと感じました。この頃から身近にこういう支えや情報があったらいいのに、と思っていました。

サークルで特に学んだことは、カウンセリングの基本は相手が考えていることを受け入れ、聞くということ。身近な人が悩んだり、精神疾患を抱えていたりすると「アドバイスして解決しよう」と思い、相談された側も抱え込んでしまいがち。ですが、相手は自分の感情を受け止めてくれる人を求めているから、聞くだけでもいいということ。プロのカウンセラーじゃなくても、誰でもできることは、とにかく相手の話に耳を傾けること。
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文=督あかり 写真= アマリ・ウェデル

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