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テスラのCEO イーロン・マスク

EVメーカーのテスラは、ガソリン車を販売する自動車メーカーへのクレジット(温暖化ガスの排出枠)販売を収益源の一つとしている。テスラが直近の約2年の間、7四半期連続で黒字化を果たせた背景には、クレジットの外販がある。

しかし、最大の買い手である1社がクレジット購入の終了を宣言したことで、テスラの収益性に疑問が投げかけられている。

PSAグループとフィアット・クライスラーが合併して誕生した世界的自動車メーカー、ステランティスは先日、欧州の環境規制に対応するためにテスラと結んでいたクレジット売買合意を解消すると発表した。同社のリチャード・パーマーCFOによると、自社の努力で環境基準を達成することで、3億ユーロ(約400億円)程度のクレジット購入費を節約可能になり、このうち約2億ユーロはテスラに支払われることになっていた購入費だという。

テスラのイーロン・マスクは過去10年間にわたり、いずれは同社のクレジット販売は減少すると述べてきたが、2008年以降に同社は44億ドル相当の累積クレジット販売額を報告しており、そのうち26.9億ドルは2019年以降のものだった。しかし、テスラが2021年以降に、それらの売上なしで利益を確保できるかどうかは不透明な状況だ。

ジェフリーズの株式アナリスト、フィリップ・フーショワは、「クレジット収入を除外すると、テスラの収益性は心もとない」と述べている。フィアットクライスラーは2019年以降、テスラに約24億ドルのクレジット費用を払っていたとされ、それはテスラが2008年以降に計上した44億ドルの約55%に相当する。

ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブスは、「ステランティスと同様の動きが他社にも広まれば、影響は避けられない」と話した。

テスラは、2008年に初代ロードスターを発売した後に、クレジット販売の売上を開示し始めたが、そのボリュームは近年のEUにおける排ガス規制の強化で大幅に増加した。広報チームを持たないテスラは、この件についてのコメント要請に回答していない。また、マスクも自身のツイッターでこの件には言及していない。

ネバダ州のNavellier & Associates社の最高投資責任者のLouis Navellierは、テスラがストランティスというクレジットの買い手を失ったことで、「将来の収益性に疑問が生じた」と述べている。

6億1900万ドルが本業以外の売上


テスラは2021年第1四半期に、5億1800万ドルのクレジット売上を計上したほか、ビットコインの売却でも1億100万ドルの売上を得ていた。つまり、同社の売上のうち6億1900万ドルが、本業以外からのものだったことになる。

「テスラは第1四半期に4億3800万ドルの黒字を計上したが、本業以外からの売上6億1900万ドルを除外すると、再び赤字に転落することになる。現在手元にあるすべての事実をもってしても、2021年のテスラの収益性を予測することは難しく、彼らは投資家からの支持を失うかもしれない」と、Navellierは指摘した。

ジェフリーズのフーショワは、欧米における自動車販売のリバウンドが、短期的にはテスラのクレジット収入を押し上げ、減少に転じるのは2022年以降になると予測している。その頃になってようやく、イーロン・マスクの10年前の予測が正しかったことが証明されるのかもしれないが、「最大の問題は、いつそれがゼロになるかだ」とフーショワは述べた。

テスラの株価は5月6日の市場で1.1%下落し、663.54ドルをつけた。

編集=上田裕資

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