大学生やオフィスワーカーが戻ってきたことに伴い、ニューヨーク市の賃貸市場は活性化しており、今夏の賃貸契約件数は記録的なものになる可能性がある。2021年5月にブルックリンとマンハッタンで結ばれた賃貸契約の件数は、ダグラス・エリマンが2008年に調査を開始して以来、5月としては過去最多となった。
不動産仲介会社コーコラン・グループのゲイリー・マリン最高執行責任者(COO)は、「全体として、家主は以前ほど(値引きに)積極的ではないが、それは(賃貸市場の)勢いに影響を与えていない」と述べる。「2021年の夏は、アパートメントを探している人にとって、物件の選択肢は豊富だが、新居を手に入れるのに必要な予算も増えることになりそうだ」
家賃の上昇は追い風だが、不動産オーナーは依然として在庫過剰に悩まされており、低価格のため市場に出さずにいた物件を、再び公開し始めている。これにより一部の地区では、短期的に借り手が優位に立っている。
「5つの地区で計2万件以上の物件が公開されており、借り手の交渉力はまだかなり強い」と、openiglooの共同創業者でもあるアリア・モハメド(Allia Mohamed)CEOは話す。同社は、不動産や家主を調査する賃貸人をサポートするスタートアップ企業だ。
コーコラン・グループのデータによると、現在マンハッタンでもっとも空室率が高いのはミッドタウンイースト(5.9%)で、イーストビレッジとローワーイーストサイド(5.4%)がこれに続く。もっとも低いのはファイナンシャルディストリクト、バッテリーパークシティ(2.61%)であり、グリニッチビレッジとウエストビレッジ(2.79%)も同様の水準だ。