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「感情は、投資に多大な影響を及ぼす」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。サウスダコタ州ラピッドシティに本社を置くケイラー・フィナンシャル・グループ(Kahler Financial Group)の代表、リック・ケイラー(Rick Kahler)は、そんなことなど百も承知の、不動産投資のベテランだ。だがそんなケイラーでさえ、最近になって、どれだけ確実に見える予測でさえ、強い感情の前にはもろくも崩れ去ることを思い知り、大いに驚かされたという。

──何が起きたのか聞かせてください。

投資で成功を収めるためには、退屈に対する高い耐性が不可欠だ。つまり、投資についてパニックを煽るような経済系メディアの報道には耳を貸さない、ということが必要だ。また、資産の状況を健全に保ちたいのなら、これからの市場の動きが見えると謳う予言者たちのアドバイスにも従わないことだ。未来を予測したのが、この私であってもだ。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年5月の金融界は壊滅的な状況に陥っていた。また、その影響がどこまで及ぶのかも、その時点ではまだほとんどわかっていなかった。経済だけでなく、自分の健康状態についても先が見えない状況だったため、既に進行中だったものを除くと、住宅販売はほぼ休止状態となっていた。住宅の売買だけでなく、物件の内見でさえ、ほとんど行われなかった。

──当時、顧客にはどう語っていたのですか?

不動産価格がどう動くのかについては、この業界の事情にあまり詳しくない人にとっても、直感的には明白に見えた。私は、不動産を買う決断を先延ばしにできる顧客に対しては、確信を持って、「少し待つように」とのアドバイスを伝えた。「あなたが購入を希望している退職後の住まいの価格は、今後数カ月のあいだに大幅に下がるはずだ」と。下落幅は5%、10%、さらには(リーマン・ショック後の)2009年のように25%に至ることもあり得るというのが、私の予測だった。

このアドバイスに関して、私には何のためらいもなかった。実際、私は不動産に関して、正規の教育機関でかなりのことを学んできた。民間の不動産投資に関する最も権威の高い資格であるCCIM(全米認定不動産投資顧問協会)資格も取得した。不動産鑑定や仲介に関しても最高レベルの免許を持っている。私は、40年にわたって不動産業に関わってきた経験を持つ、不動産を知り尽くした人間だ。不動産業界の不況や好況も数多く経験してきた。私は専門家なのだ。

そんな私が、今回ばかりは完全に、まったくの読み間違えをしてしまった。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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