アップルが「集中モード」を開発した背景には、デジタルデバイスにやや依存気味なユーザーが主体的に一日の生活を「仕事の時間」「ベッドタイム」として切り分けながら過ごす意識を高められるように背中を押す意図もあるようだ。
集中モードも外部デベロッパ向けの開発用インターフェースが用意される。秋以降にはサードパーティのコミュニケーションアプリが対応することも考えられる。
筆者も気が付けばスマホの画面に視線を落としてばかりいる。iOS 15がローンチされたらすぐに「集中モード」を試してみたい。“スマホ依存”を解消するために、スマホの新機能に頼るというのもおかしな話だとは思うのだが。
iPhoneが自宅の鍵・運転免許の代わりにも
アップルは昨年のWWDC 20で、iPhoneを自動車のデジタルキーにする技術を発表した。
対応するiPhoneのWalletアプリに愛車のデジタルキーを登録した後、iPhoneをドアにかざすだけで解錠・施錠ができる。筆者はまだ試したことがないのだが、エンジンの始動までできる車もあるようだ。今年の後半にはBMWが「UWB(超広帯域無線通信)」の機能を搭載するiPhoneとのペアで、より精度の高いデジタルキー機能に対応する新車両を発売する。
今回のWWDCでは、今後Walletアプリに自宅やオフィスのデジタルキー、ホテルのルームキーも登録できるようになることが発表された。今秋にはハイアットホテルアンドリゾーツが世界中に展開する1000以上のリゾートホテルに導入を図るという。非接触のデジタルキーが使える環境が増えることは、感染症の予防対策としても高い効果を発揮するのではないだろうか。
Walletアプリに自宅の鍵、ホテルのルームキーをデジタル化した情報を登録。物理キーの代わりに利用できる
iOS 15の公開後、今年の後半から米国ではWalletアプリに運転免許証を読み込んで、物理IDカードの代わりにデジタル身分証明書として使えるようになる。対象となる州はサービスの開始後、徐々に拡大する予定だ。
米国では自動車の運転免許証が国内線飛行機の搭乗に必要なデジタル身分証明書としても広く普及しているという。アップルでは米国運輸保安局(TSA)と連係してユーザーがWalletに登録した運転免許証を、空港内での保安検査場で通用するIDカードとして利用できるように準備を進めている。
今後は、デジタルIDカードの安全性について丁寧に周知を図ると同時に、Walletに登録できるIDカードの種類を州発行の身分証明書などにも増やしながら、利便性を高めていくという。
アメリカでは対象となる州から順次、Walletアプリに運転免許証を読み込んでデジタル身分証明書として使えるようになる