──御社が意見広告を出す意義についてはどのようにお考えか
勿論、飲食関係の方が声を上げればよりメッセージが伝わりやすいということもあったでしょう。しかし、「そりゃ、当事者だからいうよね」とか、「給付金もらってるのに」という声もあると思われる。だから出しにくい状況もあるのかと理解できる。
私たちは、利害関係会社ではありますが、一歩引いた状態で声を出すことができる立場にいると思ったのです。そして、当事者ではない立場の人が声をあげるからこそ、本当に危機的なんだという状態が伝わるのではないかとも思いました。
──これまで飲食店の惨状をご覧になって、どのようなやり方、対策があったと思われますか
私たちは海外へも輸出させていただいていますが、ロックダウンした国でも売上が落ちていない国があるんですね。それはどうしてかというと、日本酒が浸透しはじめ、伸びしろがあったということもあったかもしれない。しかし、それらの国は、感染症対策をしながら、飲食店をいかに回すかということを、国ごとに考えていてくれてたということが大きいと思っているんです。
たとえば、アメリカであれば、感染者の数に応じて、「テイクアウトしかできません」「アウトドアのテラスで飲食してもOK」「収容人数を25%以下ならイートイン可」などと店がどこまで我慢すればいいかわかりやすいんですよね。
予想しやすいというのはお店にとって非常に重要で、来月にはこのくらいのお客様を迎えられそうだから、お酒をここまで発注しようとなる。その予想なしに、怖くてお店側は発注なんて出来ないです。
もちろん感染症対策は大事です。しかし、それを守りながら、何ができるのか、どこまでならお店とともにコロナに対して一緒に戦っていけるのか考えていけたらいいと思います。
──お客様や、一般の消費者の皆様に対してお願いしたいことは?
恐らく、私たちは全く新しい時代に突入しているんですよね。そして、その状況は変化していく。だから、対策をしても、失敗をするかもしれない。しかし、たとえば政府が何かを失敗し、引き返そうとなったとしても、皆で寛容性を持って受け止めることが必要なのではないでしょうか。失敗しても、やりなおせるんです。
今回の意見広告の賛成意見の中には、飲食店の方から「自分たちの存在意義が認められて嬉しかった」という話もありました。皆からこれまで悪者扱いされて、経済的だけじゃない、沢山の打撃を被っていたのです。
だから、お店を応援してあげようという気持ち、一緒に戦っていこうという思い、こういうものを皆さんと共有できたらいいのではないかと思います。