両社は5月18日、50対50の比率で合弁会社を設立すると発表した。「モバイル・ドライブ」と名付けられたこの合弁会社は、自動車のダッシュボード向けの「デジタル・コックピット」とパーソナライズされたサービスに取り組み、車内のインフォテインメントシステムやテレマティクス(自動車向けの情報サービス)、クラウド関連技術を開発する。
モバイル・ドライブ社は、ステランティスが持つ車両設計の専門知識と、フォックスコンが持つモバイル端末向けのソフトウェアおよびハードウェアの知見を組み合わせていくと、声明で述べた。
ステランティスは、今年1月にフィアット・クライスラー・オートモービルズとPSAグループの合併により生まれた欧州に本拠を置く会社だ。同社との提携は、フォックスコンの自動車分野での事業拡大に向けての決意を示している。
フォックスコンは今年2月に、ロサンゼルス本拠のEVメーカー「フィスカー」と、新シリーズのEVを開発・販売するための覚書を締結していた。フォックスコンは、中国のGeelyやBytonなどとも契約を結んでいる。
アップルをはじめとする多くの企業のガジェットを製造しているフォックスコンは、EVなどのハイテクカーを生み出すためのキャパシティを備えているとアナリストは述べている。
台北本拠のシンクタンクPolaris Research Instituteの担当者は、「彼らは間違いなくこの世界にチャンスを見出している。自動車業界はハイテク化に向かっており、彼らはその動きを後押しできる」と述べた。
アライド・マーケット・リサーチは、2017年に630億ドルだった世界のコネクテッド・カー市場が、2025年には2252億ドル(約24.5兆円)に拡大すると予測している。フォックスコンのヤン・リュー会長は声明で、ステランティス社との提携が「スマートテクノロジーを開発する当社にとって、自然な流れだ」と述べた。
クリーンエネルギーやEVに特化した調査企業Guidehouse Insightsの主席研究員であるSam Abuelsamidは、フォックスコンのエレクトロニクス分野での知見は、自動車分野でも役立つ可能性があると述べている。しかし、iPhoneなどとは異なり、自動車は湿度や振動、極端な温度変化など、「より過酷な環境に耐えるように設計されなければならない」と彼は付け加えた。
Abuelsamid はさらに、「自動車業界はフォックスコンに巨大な収益機会をもたらし、特にソフトウェアがより重要な地位を占め、電動化が進む中でその重要性は増していく」と述べた。